BoA所属プロダクション、コンテンツプロバイダを買収--次の一手とは

佐々木 朋美2006年12月11日 15時22分

 12月に入り、音楽プロダクションのSMエンターテインメントが、コミュニティサイトのDamoimを買収するというニュースが大々的に伝えられた。

 SMエンターテインメントはアジアで人気のBoAをはじめ、韓国のトップスター、東方神起やカンタなど多数の人気歌手を抱える有力音楽プロダクション。一方、Damoimは同好会やミニホームページ、メッセンジャーサービスなどを提供するコミュニティサイトだ。最近では写真や動画の公開や共有などマルチメディアサービスに力を入れており、とくに10代からの支持を得て約1400万人もの会員を擁している。

 そんなSMエンターテインメントがDamoimの株式35万4424株を、62億242万ウォンで買い取り、同社株式の55.54%を取得したのである。一見つながりのないように見える両社の買収劇だが、インターネット業界においては大きな話題となった。

 というのは、似たようなケースが韓国で最近よく見受けられるからである。例えばケーブルテレビの音楽専門チャンネル「Mnet」を運営するMnet Mediaは、メディアプレーヤー「GOM Player」のメーカーで日本においては「filebank」を運営するグレテックに302億ウォンを出資して大株主となった。また通信会社のKTは、数多くの人気俳優を擁する芸能プロダクションでコンテンツプロバイダの、オリーブナインを204億ウォンで買収している。これらの動きはインターネット業界の方向性をそのまま反映しているもののようだ。

 その方向性とは、写真や動画などマルチメディアを駆使できるウェブサイトという新たなチャンネル開拓だ。SMエンターテインメントにとってDamoim取得は、同社のコンテンツの拡大経路として、新聞やテレビなど従来のメディアに加え、ビジュアル性の高いマルチメディアサイトという今後無視することのできない新たなチャンネルを手に入れたことを意味する。

 反面DamoimにとってはSMエンターテインメント所属のスターを利用したマーケティングを展開できる良い機会となる。とくに最近、動画投稿サイトが人気を得る反面、ユーザーの著作権違反が大きな問題として取り上げられている韓国において、強力な著作物を豊富に持つ企業がバックにつくというのは大変大きな意味を持つ。

 SMエンターテインメント側では、今後追加の投資を通じてDamoimをアジア最高の動画コミュニティ・プラットフォームおよびエンターテインメント・コンテンツ・プラットフォームとして成長させていきたいと述べている。

 これにより中国、日本、台湾などの東アジア市場をターゲットとしているSMエンターテインメントは、Damoimと連動した動画投稿・共有サイトであるAURAなどを積極活用し、海外市場進出を加速化してグローバル事業を拡大させる方針だ。

 またアジア全地域を対象に、1つのコンテンツ流通チャンネルとして、また新人の広報窓口として、動画プラットフォームを積極活用し、グレテックをニューメディア・エンターテインメント企業に育てていくと宣言している。

 YouTubeを見るまでもなく、動画の配信や共有・投稿サービスは世界的人気を得ていることは周知の事実だ。それを巡って芸能プロダクションまでが触手を伸ばしたということは、それほど動画配信の人気が無視できないほどまでに高まっているということであり、今後これに続く買収劇が相次ぐのではないかと注目されている。

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