2.5GHz帯の無線利用を目指す通信事業者の多くはWiMAXを希望--BWAカンファレンス - (page 2)

新潟県

 離島や世帯数の少ない集落が点在するいわゆる「ブロードバンド不利地域」の新潟県は、デジタルデバイドの解消を目指して、今回の意見陳述に参加した。現在新潟県では次世代無線ブロードバンド調査研究会を発足しており、条件不利地域などへの無線ブロードバンド導入モデルの調査研究を行っており、中山間地域ではバックボーンの光ケーブルを代替えするものとしてFWAが重要であるとしている。

 そこで、今後広範な普及が見込まれることや、それにともなって関連機器や運用のコストが低下すると予想できることからWiMAXが有効とした。無線免許の交付に当たっては、FWAとしての利用にも配慮するよう希望している。

三菱総合研究所

 WiMAX Japan Projectを推進しており、民間企業と自治体、関連団体が協調し、サービスやアプリケーション、ビジネスモデルの調査研究を行っている三菱総合研究所も陳述に参加。日本のブロードバンド世帯普及率は47%であり、条件不利地域に残る308万世帯への迅速な普及が課題だと述べる。また、ブロードバンドの整備には災害情報ネットワークとして機能しうることが重要であり、広い面積をカバーできるWiMAXは迅速かつ経済的にブロードバンド環境を提供できるとした。

アッカネットワークス

 アッカネットワークスは、BWAには速度やコスト、対象市場などの面からWiMAXが有効であるとした。また、アッカネットワークスには複数の通信事業者やISPなどと対等にビジネス展開している中立性、高品質なネットワークオペレーションが提供できること、既存モバイル事業のしがらみがないことなどからWiMAXとの親和性が高いことを強調。また、WiMAXがオープン指向であることから、「Web 2.0」的な考え方から「BWA 2.0連合体」を形成すべきだとした。これにより誰でも自由に参加、開発でき、相互協力によってさらに発展できると述べた。占有周波数帯幅は20MHzとし、連続した20MHz帯域が使用可能にできるような割り当てが望ましいとした。

イー・アクセス

 イー・アクセスでもBWAに最適な方式としてWiMAXを提案する。同社はモバイルWiMAXによる実証実験や松下電工とのエリアセキュリティ共同実験などを実施するほか、WiMAX ForumやWMC(WiBRO Mobile WiMAX Community)などでも活動を行っている。WiMAXは将来的に75Mbpsでの通信が可能であることから、自宅の利用環境をそのまま持ち出すことができ、外出先でも常時接続できるサービスを提供するとしている。周波数割り当てについては、10MHz単位とし、将来20MHzへ拡張するための周波数を保留しておくべきだとした。また、全国展開を希望する事業者を優先し、競合した場合には財務基盤や技術基盤、また競争促進の観点から第1種、第2種指定電気通信事業者以外への割り当てを優先すべきであるとした。

NTT東日本、NTT西日本

 NTT東日本とNTT西日本は、BWAを光ケーブルによるインターネット接続の付加価値向上と位置付けており、Wi-Fiによるフレッツスポットと組み合わせることで、より便利にインターネットに接続できるノマディックサービス(場所や時間を問わず自由に高速データ通信ができるサービス)を提供する計画だ。デジタルデバイド地域での光ケーブルの代替としては、現状ではコスト面などから適用が難しいため、「今後の技術や製品の進化を見て判断する」としている。

 BWAの方式には、WiMAXを推奨。免許方針案に関しては、全国を免許単位とすること、より高速で快適なブロードバンドを推進するために10MHzを2つ(20MHz)が望ましいとした。選定基準においては、サービスの内容や開始時期、面的展開などの要件で周波数の有効利用の観点から、サービスの面的展開を確実に継続できることが重要であるとした。

日本ケーブルテレビ連盟

 日本ケーブルテレビ連盟は、業界団体として意見陳述に参加した。ケーブルテレビは、もともと電波障害による難視聴対策を目的としてスタートしている。また、地域に根ざしたサービスとコンテンツを提供しているほか、1本のケーブルで放送と通信の両方を提供し、融合を図ってきたと説明。その次のステップとしてワイヤレスなサービスを検討しており、有線でカバーしているエリアの延長として無線システムを接続することで、デジタルデバイドの解消に有効であるとした。

 BWAの方式はWiMAXを採用する。免許方針に対する要望としては、周波数割り当ての単位は市町村といった自治体を最小単位とし、周波数幅は少なくとも10MHz以上としている。またサービス内容については特に制約を設けず、柔軟な免許方針を要望している。面的展開は原則100%カバーすることが望ましく、次の段階としてローミングを含めた横への展開を実現していく。競合した場合には、地域の声を反映したサービスを実際に提供できる事業者へ優先すべきであるとした。

KDDI

 KDDIは、「これまでの無線ブロードバンドはことごとく成功してない」としたうえで、WiMAXは長期間にわたり実験を繰り返した結果、世界に通用するBWAの方式であるとした。サービスはモバイル環境でのIPデータ通信をベースに幅広いアプリケーションの利用を想定し、携帯電話とは異なる新たなビジネス領域が創出されるとしている。

 エリア展開はニーズに合わせた展開が必要であり、地域系の他事業者との連携も視野に、トータルでエリアの充実を図る計画だ。要望に関しては、周波数割り当てについては「真の無線ブロードバンドを提供するためには30MHzは必要である」としている。また、干渉調整やガードバンドの増大を抑止するため、採用システムを統一すべきとしている。免許申請が競合した場合には、BWA事業を確実に開始し、安定的に提供するための財政的基礎がより充実していることや、大規模システムの実験や開発、保守運用のための技術的能力および体制が充実していることなどを挙げた。

ウィルコム

 ウィルコムは、高速なPHSを実現し携帯電話とは違ったユニークなサービスを展開してきた。2つの定額制の導入により加入者が飛躍的に増加しており、2007年には800Kbpsでの通信サービスを提供する予定だ。しかし、PHSの場合は1Mbps程度の通信速度が限界とされており、これ以上の速度を実現するには新しいシステムが必要だという。

 そこでウィルコムでは、採用するシステムとして次世代PHSを提案した。PHSは携帯電話よりもエリアの狭いマイクロセル方式を採用しており、アンテナの数は必要であるが、周波数の利用効率が高く、電源効率もいいことが特徴である。次世代PHSに移行するには、現在のアンテナを次世代PHS用のものに置き換えていくだけなので、約16万局の基地局をそのまま利用できる。次世代PHSについては、すでに実験局免許を取得しており、20Mbps以上の伝送速度を確認しているという。

 また、世界的にも国際標準規格に盛り込まれるなど標準化の動きも進んでいる。サービス開始時期は2009年から2010年を想定しており、都市部からエリアを拡大していく計画だ。要望に関しては、周波数割り当ては20MHzが必要としており、満たすべき要件は、定期的に実施されるトラフィック利用状況調査を実施し、周波数が有効に利用されているかどうかによって再免許を検討する方法が望ましいとしている。

NTTドコモ

 NTTドコモは、固定インターネットを補完するものとしてBWAを位置づけている。このため携帯電話とは異なるマーケットが形成され、結果的に市場が拡大すると見ている。同社のBWAに関するコンセプトは、常時接続型でIPベースのデータサービスを提供するというものであり、多彩な端末のバリエーションを提供することを考えている。

 システムとしてはコストや相互接続性などからWiMAXが最適とした。エリア構築は、「ホットゾーン」という、ある程度の面的連続性を持たせたものとし、鉄道や主要幹線に沿うなど需要の高いエリアを集中的にカバーするという。免許方針に関する要求としては、周波数割り当ては20MHz以上が必要であるとし、事業者への要求条件および判断基準として、全国規模の設備展開に耐えうる財務基盤を保有すること、本システムの品質維持・工場をなしうる技術開発力を保有することなどを挙げた。

ソフトバンク

 ソフトバンクは、さらなるブロードバンド普及の方策としてBWAを捉えている。採用するシステムについては、一度導入すると容易に変更できず、長期にわたって事業全体の競争力に重大な影響を与えることから、方式は決定していないという。現在WiMAXをはじめ複数の方式について実験を計画中であり、その結果は公表していく考えだ。サービスについては、3GとWLANを補完するものと位置づけ、より豊かなモバイル環境向けコンテンツをモバイル端末とともに提供する。

 免許方針に関する要求では、顧客の多様なニーズに的確に対応し、事業を安定的に継続し得る「経験ある事業者」に割り当てるべきであるとし、周波数は20MHz以上を単位として割り当て、ガードバンドは5MHzを基本にするべきであるとした。割り当て時期については、総務省と事業者の双方で事業計画や技術内容を十分に検討し、2007年度中程度をめどとするべきとしている。免許事業者が満たすべき要件では、移動体通信事業ですでに実績のある会社であり、全国エリアで無線データサービスを供給可能な事業者であること、またひとりあたりのビットレートを向上し、廉価にサービスを供給できること、コンテンツを含めた新しいサービス提案ができる基盤があることを挙げた。

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