すでに佐々木俊尚氏のブログ「佐々木俊尚 ジャーナリストの視点」でも取り上げられているとおり、オーマイニュースは11月17日、市民記者の登録をしないオピニオン会員について、コメント欄への書き込みを禁止することを発表した。
以前のオーマイニュースでは、原則的に実名と銀行口座など詳細な個人情報登録を登録し、記事を執筆できる「市民記者」と、ニックネームなどの登録だけで記事に対してのコメントができる「オピニオン会員」の2種類の登録ユーザーがいた。しかし、記事に対する批判的なコメントが相次いだことからコメント欄の運営方法を改善するという提案が出され、11月17日の発表に至った。この経緯については佐々木氏のブログが詳しい。
オーマイニュースではオピニオン会員によるコメント欄の書き込みを禁止したと同時に、マイネットジャパンの運営する「newsing」と提携し、記事にnewsingへの登録ボタンを設置した。
newsingはウェブ上でユーザーが気になったニュース記事を取り上げ、その記事をほかのユーザーと共有し、賛成や反対の意志を投票したり、記事に対するコメントを書き込めるサービスだ。ユーザーのコメントや注目の度合いをもとに記事が編集される「ソーシャルニュースサービス」を標ぼうしている。正式なサービス開始から約4ヶ月でユニークユーザー数は30万程度、取り上げた記事は1万件に上る。
11月17日以降、newsingではオーマイニュースのオピニオン会員だったユーザーの一部がオーマイニュースの記事を数多く取り上げ、それに対してネガティブなコメントをつけていくということが相次いだ。マイネットジャパン代表取締役社長の上原仁氏は「オーマイニュースが取り上げられるようになった結果、もともとのnewsingユーザーと摩擦が起きてしまった」と説明する。オーマイニュースとの連携以降、コミュニティの色の異なる元オーマイニュースのユーザーと以前からnewsingを利用するユーザーが激論を交わすという状態が続いたのだという。
これに対してマイネットジャパンでは12月2日にユーザーとのミーティングの場を設けることを発表。しかしその後、newsingで取り上げられた記事のコメント欄やブログなどを介してユーザー同士がサービスのありかたについて討論し、摩擦も解消されていったという。上原氏は「newsingはもともと争う場所ではない。大量のニュースをユーザーがフィルタし、編集して作っていく場。その空気を理解してもらった。ユーザーによる自浄作用が働いたといってもいい」と説明する。
ユーザーミーティングでは「今回の件についてはユーザー間である程度意志が疎通できており、今後どういった仕組みを導入していくかということを考える場となった」という。編集権をユーザーに委ねるnewsingでは運営側から人的な編集要素を一切入れない。そのため、提携先などから入ってくるユーザーと、newsingユーザーとの摩擦が起きた際、それを見たくないユーザーに対して、システム的にどういったサービスが提供できるかということが今後の課題になる。
今回の騒動の始まりである、オーマイニュースとの連携については「今までfeedpathやギズモード・ジャパン、ベンチャーナウ、News2Uなど複数サイトと連携させて頂いている。オーマイニュースもその一環であり、特別なものではない。ただ、(オーマイニュースの)コメント欄の運用が変わることは聞いていなかった」とした上で「それでもユーザー同士で意思疎通がなされたのは運営側としては理想的な姿だった」と語る。
上原氏はnewsingについて「ソーシャルニュースという名前でサービスを始めたが、まだまだnewsingという場を用意しただけのニュースコミュニティ」と語る。これからはユーザーをベースにして、その人の興味のあるニュースが適切にフィルタリングされていき「本当の意味でのソーシャルニュースを目指す」とした。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」