韓国といえばオンラインゲームの盛んな国という認識が強い。これに隠れ気味ではあるが、コンシューマーゲーム機も根強いファンがいるのは確かだ。
たとえば韓国にはオンラインゲームが楽しめるインターネットカフェ(PC房)と同様に、「PlayStation房」と呼ばれるゲームカフェもあり、PlayStationやXBOXのゲームを楽しむ若者でにぎわっている。
韓国政府の文化観光部による「2005 ゲーム産業 動向分析」では、2005年に集計されたコンシューマーゲーム市場規模(売り上げ高)は2183億ウォンとなっている。これに対してオンラインゲームの市場規模は1兆4397億ウォン。これを市場占有率に換算したパーセンテージを見てみると、オンラインゲームが50.4%、コンシューマーゲームが7.6%と劣勢だが、全体で3位の位置は2003年からキープしている。
コンシューマーゲームが韓国に正式に入ってきたのは2002年、Sony Computer Entertainment(SCE)のPlayStation 2(PS2)とMicrosoftのXboxが最初だった。以降、文化観光部の集計では韓国のコンシューマーゲームの市場規模は2005年に若干小さくなってしまったものの、今後も小幅ながら大きくなっていく展望だ。
PS2やXboxはこれまで、直営店や大型スーパー、映画館などに体験機が設置されるなどして積極的なPRが行われてきた。そのおかげで知名度はかなり上がったが、今後もこうした根気強い努力の継続が、コンシューマーゲーム機を韓国に定着させるかどうかの分け目となりそうだ。
その後、2社に遅れをとってはしまったが、2006年7月に任天堂が100%出資の子会社を設立し、韓国市場に本格進出。これにより韓国でも世界市場と同様、三つ巴の戦いが繰り広げられることとなった。
ちなみに任天堂進出以前にも、韓国では任天堂製品が流通してはいた。マンガ本などの出版にあたっているDAIWON C. I.という企業が、任天堂と契約することでニンテンドーDSなどのゲーム機および関連ソフトを韓国で販売していたのだ。
ただし現在のところニンテンドーDSやニンテンドーDS Liteの、韓国での存在感を同じポータブルタイプのゲーム機のPlayStation Portable(PSP)と比べると、PSPの方が圧倒的に優勢だ。これにはさまざまな理由が考えられるが、もっとも大きな理由としては任天堂のゲームソフトはSCE Koreaのそれと比べ、韓国語化されていないものが結構多かったということが挙げられる。これでは日本語のできない人はゲームをするだけで一苦労だ。
さらにPSPは通信会社のKTによる無線LANサービス「Nespot」を利用して、「全国1万3000カ所」(KT)というNespotゾーンでインターネットに接続可能なほか、携帯電話事業者のKTFが運営する音楽配信サービス「dosirak」での音楽ダウンロードも可能となっている。ゲーム機というよりポータブル・マルチメディア・プレーヤーのようなイメージが前面に出されることで、女性の支持も集めユーザー層が厚い。
一方、最近日本や米国などで販売されて話題となっているPS3は、韓国ではまだ販売されていない状態だ。そのため海外の商品を代行して買ってくれる「購入代行業者」が、新しもの好きのために早速PS3の購入代行を開始している。
Sony Computer Entertainment Korea(SCEK)では、営業・管理部署を中心として20〜30%のリストラおよび部署統廃合などを行う方針であることが報じられた。この措置はPS3の販売に伴う初期費用を抑えるためのものであるようだが、同社にとって決して良い材料とはいえない。
PS3の販売を前に難しい決断を下さざるを得なかったSCEKだが、それでも戦いの道は長そうだ。任天堂は韓国進出の発表の際、Wiiを韓国でも販売することを宣言。ソフトの韓国語化への期待とともにゲーム好きの間で大きな話題になっているほか、Xbox 360も年末の消費シーズンを前に、駅プラットフォームに体験ゾーンを設置するなど、大々的な広報攻勢をかけてきている。
オンラインゲームの国、韓国で激しい競争を勝ち抜き、勝利を手にするのはどのメーカーか、韓国でも大きく注目されている。
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