進化するケータイアプリケーションとケータイソリューション - (page 3)

高藤丈也(IMJモバイル)2006年11月13日 12時10分

 ケータイソリューションビジネスを行う上では大きく分けて5つの分野のクライアントがいるといって良い。クライアントとそこで展開できるソリューションビジネスの詳細は以下のとおり。

  • ケータイ公式サイト配信会社:公式サイトの開発
  • 広告代理店:ケータイを使ったキャンペーンの企画開発運用
  • 一般企業:ケータイサイトの構築、ケータイプロモーション、店舗連動
  • 通信キャリア:ケータイ機能を使ったサービスの開発、MVNO
  • コンテンツホルダー:ケータイコマース、ケータイコンテンツ配信

 課金型のケータイ公式サイトビジネスの市場規模は、4000億円を超え、1つの産業として成熟期を迎えている。よってケータイ公式サイト配信会社がクライアントとなるソリューションビジネスでは分散したシステムの一元化、効率化がテーマとなり、大きな成長は期待できない。

 それに対し、広告代理店や一般企業がクライアントとなるような、広告にひも付くケータイソリューション(キャンペーンなど)やシステムコンサルテーションにひも付くケータイソリューション(システム連動型)、企業がケータイを使ったサービスを展開する上でのケータイソリューション(ケータイサービス構築、ケータイCRM、会員獲得など)の市場はまさにこれから成長するところだ。野村総合研究所によると、市場規模は2010年に1.7兆円と予想されている。

 携帯ソリューションビジネスを行う上で必要となる人材像を話しておこう。

  • ケータイの特性とシステムとを十分に理解したSE
  • ケータイの特性と顧客の事業を理解した上でビジネスの将来像を語れる事業感覚のあるプロデューサー
  • プロデューサーの意向を100%実現し、プラスアルファの要素をもったディレクター
  • システム開発が存分にこなせ、かつリソースに余裕を持つ開発体制

 これら4点をカバーできれば、明日からでも将来有望なケータイソリューションビジネスが展開できる。もちろん、人材が揃えばの話だが。前述のとおり、ケータイソリューションビジネスは有望な市場である反面、人材不足は大きな問題となっている。

ケータイマーケティング ソリューション業界を産業に

 最後になるが、ケータイソリューション・マーケティングについての情報交換の場としてモバイル マーケティング ソリューション協議会(MMSA)という業界団体がある。

 現在約50社が会員になり、ケータイビジネスのためのガイドライン策定や、会員同士のビジネス連携をすすめるほか、会員がリーダーとなりワーキンググループを形成し、ケータイに関する共同研究やケータイビジネスの創造、事例共有、セミナーなどを実施している。もともとは2003年からケータイマーケティング・ソリューションの研究会を発足させて情報交換を行っていたが、2006年4月には協議会となり、私が理事長を務めている。

 ケータイ業界の潜在市場規模は、先述したようにケータイソリューションだけでも1.7兆円、ケータイマーケティングを入れると5000億円程が上積みされて、2.2兆円となる。2015年以降はITSが15兆円市場になると予測されているが、ケータイソリューションのノウハウがITSに活かされれば、ケータイマーケティング・ソリューション市場の規模はさらに上積みされることになる。この市場をいかに育成していくか、普段の我々の考え方、行動にかかっている。健全ですばらしい将来に向け、仕組作りは始まったばかりだ。

高藤丈也氏
IMJモバイルシニア・パートナー
高藤丈也

大手広告代理店に勤務後、1995年インターネットカフェを神戸で開業。IPA阪神大震災復興プロジェクトに参画。アイデア商品「ラブゲッティ」を企画・販売、大ヒットし1998年ギネスブックに載る。2000年ユニークメディア(現IMJモバイル)を創業。モバイルマーケティングソリューション協議会(MMSA) 理事長、デジタルラジオニュービジネスフォーラム 幹事、クロスワープ ストラテジック・パートナー、ユニークラボ 代表取締役

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