東芝が誕生させた新テレビ「REGZA」は、HDD内蔵やネットワーク機能の強化など、最新機能を兼ね備えた「品の良い」テレビだ。充実のデジタル機能を備えながら「和」を感じさせる美しいデザインは、ブラウン管から液晶テレビへ、テレビが薄型化されることによって実現した、デザインの変化が強く感じられる。そんな薄型らしいデザインを体言した東芝「REGZA」のデザインの裏側を伺った。
伊豆 テレビは存在感のある物だから、デザイナーは常にインテリアになじむデザインを考えていると思うんです。薄型テレビになって、家具に近い形になったので造形がしやすくなりましたね。あとは画面サイズが大型化されるに従い、視聴していない時にもインテリアとして、心地良いデザインが求められるようになってきたと思います。
本村 ブラウン管の頃は、「機能」と「価格」が大きな購入ポイントでしたが、薄型テレビになって、「デザイン」にも目が向けられるようになった気がします。これは、デザイン家電の登場や家電製品の取り扱いショップの広がりなど、ユーザーがデザインを意識し始めるようになったことが関係してるのかもしれないですね。
本村 そうですね。弊社のテレビは、以前「face」というブランドで展開していたのですが、ブラウン管の印象が強くて、薄型テレビでの新たなイメージやアイデンティティを据えることが難しかった。そこで新ブランドとして立ち上げたのが今回のREGZAです。開発にあたって、最も重視した部分は「本物」感。薄型テレビの「本物」とは何か、を考えたら、最高の「画質」と「デザイン」という答えが出た。さらに具体的なキーワードとして「卓越感」「上質感」「高質感」が見つかったんです。
本村 石に水を一滴落とすと吸い込むようなイメージ、そんなテレビフレームを作りたいという思いから、硯をデザインイメージの1つとして選びました。テレビって画面が映ればいいわけですから、フレームはあくまで脇役なんです。そう考えると反射しない素材が望ましい。また、長期間使用するものですから、傷の付きにくさや掃除のしやすさも考慮しなくてはならないんです。そう考えていくと、硯のようなマットな質感のものがいいんですね。 しかし、最近のデジタル機器のデザインでは携帯電話やメモリーオーディオなどグロスな質感のものがほとんど。店頭でもキラキラと光を反射するグロスの方が「高級感がある」と受けがいいんです。
本村 そうなんです。そこで「じゃぁ、超高級なマットフレームを作ろう!」とひらめいたんです。その超高級なマット感を突き詰めていったところ、「硯」が一番近いのではないかと。
伊豆 黒って実は表現するのがすごく難しい色なんですよ。スーツでも高級な黒と安い黒は色味が全然違うでしょう。だから黒は黒でもとにかく“高級な黒”を目指しました。
伊豆 ええ。色を表現する要素は、3原色以外にも細かいテクスチャなどいろいろとあるんです。なのでフレームには、角度によって光るよう、わずかに金属の顔料を混ぜ、何度も調合してもらいました。調合して塗ってみては乾かす、この繰り返しで質感を出していきました。 また、同じ黒でもリモコンには、細かくウレタンを溶け込ませて塗装してあります。こうすることで、少ししっとりとした感触になるんです。
本村 今回のREGZAのように、装飾を最小限に抑えたミニマルなデザインの中で、卓越感や高質感を出すなら、素材や材料にこだわることが大事だと伊豆が提案してくれたんです。
今春誕生した東芝の液晶テレビブランド「REGZA」のフラッグシップモデル。1920×1080ドットのフルHDパネルを搭載し、質感とディテールの両方から高画質再現を追及する「新メタブレイン・プロ」エンジンを内蔵。HDMI端子は3系統を装備、DLNA標準対応など、最新の機能を数多く搭載している。光沢感を抑えたマットストーンブラックのフレームとアルミのような質感を表現したスタンド部など、素材感を生かしたミニマルデザインだ。
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