それなりに長いこと文章を書く仕事をしているが、実はすぐに煮詰まったり気が散ったりしやすい性質だ。本当のところあまりこの仕事に向いてないのかもしれない──なんてことを締切のたびに考えてしまうほどである。特にインターネットおよび常時接続が普及してからというもの、状況は非常に深刻化した。ちょっと煮詰まったら即座にネットサーフィンを開始できてしまい、しかもこの逃避行動にはなかなか区切りがつかないため、しばらく本筋に戻って来られないのである。
当然ながら、そんなことをしているといつまでたっても仕事は終わらない。生活の危機である。そこで、煮詰まって気が散ったら、近所のファミリーレストランへ出かけることにしている。ドリンクバーが普及してからこっち、ファミレスは非常に快適な作業場なのだ。
しかし問題は、ファミレスにどういった端末を持っていくかである。作業はテキスト打ちがメインとなるため、高いスペックは必要ない。高速無線LANとか動画再生能力とかスパイダソリティアとか、そんなのは気が散る原因になるので、むしろないほうがいい。そのかわりできるだけ小さく、軽く、電池の持ちがたっぷりあってほしい。そしてもう1つ、非常に重要なことだが、カナ入力しやすいマシンでなくてはならない。
そう、私はカナ入力派である。マイノリティである。日本でカナ入力が少数派であることに非常に不満を持っているカナタイパーである。いや今回はイデオロギーはどうでもいいのだが、要するにカナ入力ができる機械でないとイヤなのだ。
過去にはMobileGearやLibrettoSS、Zaurus MI-E1などいった端末を使っていたのだが、大きいとかバッテリ駆動時間が短いとか肝心のカナタイプができないとか、必ずどこかしらで不満が出て、ことごとく短期間で手放してしまった。しかし、2003年にドコモの「シグマリオンIII」を購入して以来、ファミレス用端末の座は不動のものになっている。
シグマリオンIIIは、上で挙げた条件をしっかり満たしてくれている。小さくて軽くて、バッテリも十分長持ちするうえ、ちゃんと両手でカナタイプできるのだ。CFタイプのPHSを装着して最低限の通信環境も確保しているが、さすがにこれだとネットサーフィンしようなんて気は起こらないので安心だ。契約も完全従量制だし、時折メールチェックとちょっとした調べ物をするくらいである。
実際のところファミレス作業時だけでなく、外出するときの私のカバンには、大体いつもシグマリオンIIIが入っている。認識的にはPDA機能もついた携帯ワープロといったところか。集中力散漫なライターにとって大変使い勝手がよく、今までになく長い付き合いとなっている。
しかし心配なのは、これが壊れちゃったりしたらどうしよう、ということだ。シグマリオンIIIはすでに生産を中止している。後継機種が出てくれればいいのだが、今のところどうもそんな気配はない。世の中を探してみても、似た製品がなかなか見当たらない。フルスペックのノートPCじゃ機能が高すぎるし、普通のPDAだとタイピングに難がある。
現在私は、今のうちに予備のシグマリオンIIIをどこかでキープしておこうかと、そんなことを考えている。
初対面の人に会って専門分野を聞かれると、いつも何と答えていいか困る雑食性フリーライター。最近特に興味を持っている分野は、ベアボーン機器とサイパンとジェットコースター。
【使用製品】シグマリオンIII
【購入時期】2003年8月
【お気に入り度合いを一言で表現してください】ファミレス遠征の際の不動のパートナー
【次回にバトンを託すのは?】朽木 海 氏
【次回の執筆者に一言!】いつもなにやらあやしい機械をいっぱい持って歩いている人なので、きっと愉快なアイテムを紹介してくれることでしょう。期待しております。
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