P2Pファイル交換ソフトの「Kazaa」、そして無料VoIPサービスの「Skype」と、2つのメガヒットを生み出したJanus FriisとNiklas Zennstromのコンビが、次のターゲットとして動画のネット配信に狙いを定めているようだ。
10月5日付けでBusinessWeekのウェブサイトに掲載された「Skype Founders' Venic Project Revealed」という記事によると、2人は現在「Venice Project」とという新プロジェクトを進めており、このほどこのVeniceで用いるクライアントソフトのベータ版を、BW誌記者のSteve Rosenbushに披露したという。
Venice Projectは動画の合法的な配信プラットフォームとして設計されており、関係者は現在、大小さまざまな規模のメディア企業やテレビ局にコンテンツ提供を働きかけるとともに、広告主となりそうな企業との接触も進めているという。
ユーザーがこのサービスを利用するには、まず専用のクライアントソフトをダウンロードする必要がある。そして、このクライアントソフトをインストールして起動すると、フルスクリーンのウィンドウが開き、そのなかに「ほぼHDに近い("near high-definition")」画質の映像が表示される。このクライアントソフトはP2Pで他のマシンと接続してデータをやりとりするが、ただし映像自体はストリーミング配信されるため、データがローカルに保存されるわけではない(Venice Project側では複数のバックアップサーバを配置し、ユーザーが観たい時にいつでもコンテンツを観られるようにするそうだ)。この仕組みにより、コンテンツ保持者が最もおそれる違法コピーの流通を防ぐことが可能になるという。
Venice Projectのウェブサイトはすでに公開されており、現在ベータテスターの希望者登録を受け付けている。ベータテスターの数はいまのところ100人程度だが、Venice Projectでは11月中旬までに大規模なベータテストの体制を整えたい考えだと、Zennstromとコメントしている。
なお、FriisとZennstromは、このプロジェクトでリーダーシップを執りながらも、あくまで「パートタイム」で関与しているようだ。これは、eBayによるSkype買収の条件のなかに、買収後の実績に応じた追加分支払いの条項が盛り込まれており、その金額が2009年までに合計15億ドルに達する可能性がある、との事情によるもの。よって、2人は今後もしばらくeBayに籍を置き、本業であるSkypeのビジネスに関わり続ける意向だそうだ。
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