Novellが、「SUSE Linux Enterprise Real-Time(SLERT)」製品の発売を10月に計画している。これは、ウォールストリートのトレーダーなど、数万分の1秒を争うユーザー向けに設計されたOSとなる。
リアルタイムOSは、外部イベントに対して一定の保証時間内に応答することができる。これは、主流の業務計算処理には普通は必要のない機能だが、航空管制レーダーなど一部の分野では必須となる。しかし、Linuxの柔軟性を示す動きとして、Novellは10月、同オープンソースOSのリアルタイム版を発売する計画だ。
NovellのLinux・オープンプラットフォームソリューション担当マーケティングディレクターJustin Steinman氏によると、Novellは同製品を10月9日に開催されるGartner Symposium/ITxpoで発表する計画だという。Novellは、市場に投入するリアルタイムバージョン開発作業の大半を担ったConcurrent Computerと一緒に発表の場に立つと、同氏は加えた。
NovellとConcurrentは、両社の最初の顧客がSiemens Medical Solutions(SMS)になることを発表した。SMSはSLERTを使ってMagnetomのMRIスキャン製品を管理することになる。
ウォールストリートも、投資ポートフォリオのリスク再計算や、新しい情報に基づく売買注文などでの利用に関心を寄せていると、Steinman氏は語っている。匿名のある投資銀行はNovellに対し、売買ソフトウェアの応答時間が他社製品より1000分の1秒速くなるごとに1年で1億ドル売り上げが増える、と語っている。
しかし、順応性のあるLinuxもすべてに対応しているわけではない。実際、高精度時計に同期して1000万分の1秒単位で必ず対応が求められるようなものなど、リアルタイム市場のなかでも要求のきびしい一部の分野では、その制限が顕著に表れてしまう。
Wind River SystemsのLinuxプラットフォーム担当シニアマネジャーGlenn Seiler氏は、「毎回10マイクロ秒の時間割り当てが必要なアプリケーションがある場合を『ハードリアルタイム』と呼んでいる。Linuxではこのようなことはできない」と述べている。
それでも、Wind RiverやMontaVista Softwareなどの各社がLinuxの応答性改善に向けた取り組みを続けてきている。
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