中国には「水貨」と呼ばれる、新品でも中古でもないわけあり品が流通している。中国の関税が他の地域と比較すると高いので、業者が別の国で安価に購入したものを中国語化して売るということが一般的なのだそうだ。そういった商品を水貨という。たとえば携帯電話を例に出すと説明書だけでなく、表示や入力までも中国語化して中国では専門の業者より販売されるのだ。非正規流通ルートゆえに、安い反面メーカー補償を受けられないというデメリットもあり、水貨によるトラブルは絶えないようだ。
さて、香港ではレノボのThinkPad T60pが大学生に対してのみ安価で販売されている。中国におけるレノボの希望小売価格が44899元(約65万円)、水貨が24000元(約35万円)といわれているが、香港の学生PCは、それを17400元(約25万円)で買うことができ、しかも世界中で3年補償を受けることができる(とはいっても日本の同製品の最安値に比べるとあまり安さを感じないが)。
この学生PCは香港での大学生への福利政策の1つとなっており、香港政府を筆頭に、レノボと大学と賛助ディーラーらが一体となり、ThinkPadシリーズを香港で売られる平均価格の実に半額近い価格で学生に提供している。この政策は2002年のIBM時代より開始されており、開始当初1大学だけだったのが、現在は数大学を対象とするまでになった。ただし学生限定のPCとしているために、本来のThinkPad T60pに備わっていた指紋認証やブルートゥースの機能など一部を削除している。パッケージにも「06年香港科技大学」と書かれる特注品で、香港科技大学ではT60pを100台、X60sを100台、X41tを40台を学生に販売した。
大陸本土の水貨商人はこの学生PCに目をつけた。水貨商人は香港の学生に対し、購入価格に数百元を上乗せして購入し、それを大陸で原価より3〜5万円上乗せして販売する。世界中での補償が受けられるということは、中国でも故障したとき補償を受けられるはずという噂に加え、中国で販売される正規品よりも香港で販売されるものなので品質がよい、という噂も流れているため飛ぶように売れているのだとか。
この思わぬ流通に中国レノボは頭を悩ませている。「売れないからといって正規流通ルートをとめることはない」とコメントする一方、消費者に対しては「保証書のほかにもレシートを確認するので、水貨では補償できない」と釘をさしている。
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