サンフランシスコ発--6月の冬の夜、ニュージーランドのマヌカウ海岸近海で、Peter Bethune氏(41歳)が所有するハイテクモーターボートが高さ40フィートの波に煽られて転覆しそうになり、Bethune氏はボートの壁を登り始めていた。
ボートに同乗していた2人の乗組員は船酔いし、調理場に置かれたじゃがいもの入った袋と救命用具の横に座り込んでいた。Bethune氏は、暴風雨の中、12時間舵を取った後、必死に舵取りハンドルにしがみついていた。ボートが転覆するのではないかという考えが同氏の頭の中をよぎった。そして実際、今にも転覆しそうな状況だった。
Bethune氏は、「波で、ボートが大きく左右に傾いた。本当に怖かった」と当時を振り返った。
米国時間8月17日、Bethune氏はサンフランシスコの観光地、フィッシャーマンズワーフにいた。同氏はそこで、荒海で世界で一隻しかないバイオディーゼルボートを試した時の話を改めて語った。Earthrace号と呼ばれる重さ10トンのそのモーターボートは、先端が針のように尖った特別な設計で、波の上を上下に揺れながら進むのではなく、波を針で縫うように進む。Earthrace号は、高さ24フィートの3つの船殻のおかげでキャビンは常に乾燥している。そのため、まるでバットモービルが水上を走っているように見える。
Bethune氏は6月、40フィートクラスの波の真ん中をEarthrace号で何とか潜り抜けながら、ニュージーランド近くのクックズストレートを猛スピードで通過したが、マヌカウ近くで発生した嵐で、軽量のEarthrace号は宙に浮いた。
Bethune氏は、Earthrace号のツアーの間、「私はこの2カ月間に、人生で最も恐ろしい体験をした」と語った。
Earthrace号は、Earthrace Projectのメインアトラクションとして、サンフランシスコに係留されている。Earthrace Projectは、再生可能燃料の推進を目的に30都市を半年かけて回るプロジェクトで、2007年3月に開催される世界高速ボートレースで幕を閉じる。トライマラン(三胴船)に分類されるEarthrace号の燃料は、植物や動物性脂肪から作られるいわゆるグリーンエネルギー源のバイオディーゼルだ。
Bethune氏、Earthrace号の乗組員およびそのスポンサーは、モーターボートでの世界一周の世界最短記録である75日間を破ることにより、石油に代わる実行可能なエネルギーとしてバイオディーゼルに関心が集まることを期待している。Bethune氏によると、バイオディーゼルは排気量が少ないため、環境への影響が低く、また「世界の危険な部分への依存度が低い」という。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したも のです。海外CNET Networksの記事へ
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