広告主はこれまで広告媒体としてテレビを重視してきたが、インターネットやモバイルを使ったビデオ広告も視野に入れるようになってきた。では、俳優への報酬はどうなっているのか?
俳優側と広告主側が現在、報酬に関する規約の制定に取り組んでいる。
米国テレビラジオ芸能人連盟(AFTRA)と米映画俳優組合(SAG)は、コマーシャル契約の団体協約(TVおよびラジオコマーシャルへの出演料を規定する規約)の対象範囲をインターネットにまでに拡大するため、広告業界団体ANA/AAAA Joint Policy Committee on Broadcast Talent Union Relations(JPC)と交渉を続けてきた。
AFTRAおよびSAGは米国時間8月4日、両組合幹部らによる批准前ながらも、交渉は合意に達したと共同声明を発表した。新たに制定された協約は、2008年10月29日までのコマーシャル契約に適用される予定だ。
新契約の一部として、AFTA、SAGおよびJPCは「New Media Committee(新メディア委員会)」を設置し、メディア技術に変化があった場合、コマーシャル出演料について新システムを策定することになっている。同委員会による勧告は、AFTRA/SAG(両組合は1960年代以降、共同で広告主側と交渉に当っている)がJPCと取り交わす次の団体協約において、交渉材料となる。
俳優側は、コマーシャルの放映回数に従って報酬が支払われるのと同じ方法で、インターネットもしくはモバイル機器を介して流されるコマーシャルでも追加報酬等が支払われるべきと考えている。
一方、広告主側は、ダウンロード可能なコンテンツの性質が広告の視聴形態に変化をもたらしている、と直ちに指摘する可能性がある。ネットを介したコマーシャル放映の場合、1回の放映で視聴するのは1人のみの場合が多い。しかし、テレビの広告では1回の放映で多数の人たちが視聴する。テレビ視聴者数を計測する新システムも出現しているが、広告主側はコマーシャルの視聴率に懐疑的になっている。これは、TVを所有する多数の世帯でデジタルビデオレコーダー(DVR)を使ったコマーシャルのスキップが当たり前になっているからだ。
これらの理由から俳優および広告主の双方が、インターネットもしくはモバイル機器を介して流されるコマーシャルについて報酬の算定基準を定める新システムを模索している。AFTRA/SAGの声明によると、俳優への報酬に関するこの新しい範例は、今後の交渉において議論のテーマとなるという。
差し当たり、現在の提案が批准されると、俳優の報酬は6%増加し、年金および健康保険費用も0.5%増加する。一方、広告主は、インターネットなどのニューメディア向けにコマーシャルを編集する場合、多くの「柔軟性」が与えられる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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