BillMonkのChuck Groom氏とGaurav Oberoi氏がメールでのインタビューに応じてくれた。
BillMonkは友人同士が借金や物の貸し借りに伴う問題を解決するために、出来事をトレースしやすくするアプリケーションです。2006年1月に友人間の非公式な借金(ソーシャルマネー)を追跡記録するツールとして立ち上げました。例えば、ルームメイトと家賃や光熱費を折半したり、20ドル借りたり、グループ旅行をしたりするときのお金の貸し借りです。このソーシャルネットワーキングと個人資産管理の両方の機能を併せたアプリケーションはかなりの好評を博し、これといった宣伝活動はしていませんが12週間で5000人以上のユーザーがこれを利用し、30種類以上の通貨が使われました。
4月には「BillMonk Library」を追加し、貸し借りの範囲をお金だけでなく物にも拡大しました。コンセプトはシンプルです。本やDVDなどを貸し借りするときに、BillMonkにログインしてそのことを知らせるだけですBillMonkがだれが何を持っているかを記録し、ユーザーがそれを記憶する手間を省きます。しかし、特にクールな機能はシェアリングです。だれかが何かを貸すたびにそれがその人物の個人コレクションに追加されます。友人同士はお互いのコレクションを見ることができるので、なんとコミュニティの「借り物ライブラリ」が出来上がるのです。暇つぶしに見る映画を探している、または新しいテレビゲームをしたいと思ったときに、友達のコレクションに目を通し、貸してほしいものをリクエストできるという具合です。
BillMonkの重要な点は、信頼する人との間で既に行っている非公式な貸し借りを自分で記録しているということです。われわれはそれを簡単に記憶できるようにしただけですが、気まずさを感じることなく物事がフェアに進むようにする中立的な第三者としての役割を果たせます。
2つの理由からです。第一に、ほかのだれも解決していない問題であり、個人的に必要なものだったからです。第二に、非常に大きな需要があると思ったからです。非公式な貸し借りの経済規模は膨大で、そのほとんどが目に見えないものでした。記憶や付箋紙、メモ帳に残すといった形で現在世界中で行われているすべての非公式な貸し借りのほんの一部でもわれわれのシステムで処理できれば、その数は膨大です。米国内のルームメイトだけに限っても、2000年の人口調査によれば、2200万人の潜在的ユーザーがいます。
ユーザーから寄せられる絶賛の声に勇気づけられています。特にルームメイトたちからはBillMonkの機能に関する心温まるメッセージが送られてきています。BillMonkにより、請求や借金の計算が楽になり、お金がらみの友人関係の感情的なもつれを切り抜けることができると言うものです。
われわれはBillMonkの仕事をフルタイムで行うためにAmazon.comを辞めました。時間の半分をサイト管理に、残りの半分を事業開発に向けています。
Gaurav OberoiとChuck Groomの2人です。自分たちで資金を出し、ユーザーインターフェース、インフラストラクチャー、プログラミング、事業開発など、特に分野を区切らず、ほとんどすべてを自分たちでやっています(もちろん、友人や家族からも多くの支援を受けていますが)。
BillMonkを専業にする前は、2人ともAmazon.comのプログラマーでした。Amazonの各商品を分類し、ユーザーが商品を検索し、目を通し、購入できるようにするためのコアコンポーネントを書くのがGauravの仕事でした。このサービスはいつでも使用でき、自己修正式で、一日何百万件ものリアルタイム処理を行います。GauravはAmazonの前にはエネルギーと輸送関連の会社でミドルウェア開発を2年間行いました。図形処理プログラミング言語を設計し、何千ものコンパイル済みアプリケーションを同時に動かせる拡張可能なアーキテクチャを構築しました。
Chuckは、Amazon.com在籍中の2年間に、次世代のカタログメタデータサービス(「これはどんな種類のものか。それについて何を推察できるか」)のビジョンづくりと設計を指揮しました。この仕事を通じて、知識表現、統計、データマイニング、そして常時使えて膨大なリポジトリについて多くのことを考えさせられました。また、購入者保護(詐欺行為対策)チームの仕事にも従事し、全体の安定を保証する「A-to-z Guarantee Service」を形にし、それを顧客にとって使いやすく、第三者の販売者にとってより公正で、社内の事業部にとって透明性の高いものにしました。Amazonの前には、ChuckはBlue Mug, Incで3年働き、携帯電話やさまざまな携帯用デバイスの試作品のためのアプリケーションやユーザーインタフェースを開発しました。
サイト:Ruby on Rails
OS:Debian GNU/Linux
ウェブサーバ:Apache2
データベース:PostgreSQL
ロードバランサ:Pound
リポジトリ:Subversion
バグ・問題のトラッキング:Trac
モニタリング:自社開発ツール(Ruby)
顧客サポート:自社開発ツール(Ruby on Rails)
信頼できる受信メール処理:自社開発ツール(Ruby)
社内文書管理:MediaWiki
われわれの短期ロードマップにあるものばかりです。
全主要通貨へのサポートを追加してから、ユーザーは世界中にいます(30を超える通貨が現在使われています)。ユーザーの大部分は米国内にいますが、欧州やシンガポールにもたくさんのユーザーがいます。ここ数週間で中国からのユーザーもすごい勢いで増えています。
われわれが実施したさらに面白いことのひとつは「World of Warcraft Gold」などの多人数参加型オンラインゲーム(MMORPG)用通貨のサポートの追加です。使用頻度の最も高い通貨トップ10リストには載りませんが、ユーザーがバーチャルワールドでこれらの仮想通貨を使って自分たちの借金やアイテムの交換を行っているのは、かなり面白い話です。
6カ月後の目標は、ルームメイトにとって唯一無二のツールになることです。
2年後の目標は、友人間の貸し借り管理に唯一無二のツールになることです。請求書の支払いなどの負債管理や個人資産管理などを処理またはトレースするための資産管理サービスの数が今後増えることが予想されます。6カ月、2年という時間内には、イベントの計画やソーシャルネットワークといった別のサービスの統合も実現していることでしょう。
BillMonkのことを耳にさえすれば大抵の人が理解を示し、その発想に強い関心を示します。われわれの課題は単純で、友人にどう思われているかを知らないという日常的な厄介ごとを解決するシンプルな技術的ソリューションがあることを認知してもらうことです。そうすれば、簡単にユーザーがBillMonkを使い始めてくれるようになるでしょう。
成長面:ルームメイトや大学生向けのマーケティングキャンペーンに適度な資金を投入すること。
事業面:オンライン決済のレートを良くするための交渉を進めること。
技術面:手ごろな価格で信頼できるSMSゲートウェイ(BillMonkには携帯機器用のSMS版コンポーネントがありますが、今日ではSMS電子メールが必要となります)
中でも最も重要なのは最初のものです。
BillMonkの有料サービスを提供する予定です。現在のサイトの機能はすべて無料ですが、オンライン決済など、今後追加する特定の機能の利用には月額手数料が必要となります。まだ試算中ですが、概算でおそらく年間20ドルくらいになると思います。
そもそものビジネスモデルは、オンライン決済の一部を切りとることでした。しかし、個人対個人の取引のシェアを第三者に取らせる決済システムはありません。
毎週、約2000件の領収書が作成され、個人ライブラリに600点のアイテムが追加されています。領収書1件ごとに、複数のユーザーがその結果を確認するためにログインしています。
何百万ドルにも相当する取引を取り扱っており、その多くがたくさんの友人間におけるひどく込み入った(支払人が複数存在し、支払額がそれぞれ異なる)取引で、それでいて、自分がなぜある人物に特定の金額を借りているのかわからなくなったことがあるというコメントがだれからも寄せられていないという事実に、最も誇りを持っています。
うーん、なぜWeb 2.0なのか、なぜ今なのか。複数の傾向が相まって、ウェブの使われ方やサービスの提供の仕方に変化をもたらしていると思います。
TechCrunch、Payments News、New York Times、Seattle PI、SF Chronicle、Achewood、Penny Arcade、Digg、Slashdotなど、われわれのApache関連のログにあるものなら何でも。
7〜8時間です。日中にものすごい集中力を維持するのが得意ですが、比較的普通の生活をし、週末は最低1日休みにしています。緊急事態で毎日14時間ずつ3週間働き続けたこともありますが、それは例外にとどめ、習慣にはしないように努めています。
メールでのインタビューに応じてくれたBillMonkのChuck Groom氏とGaurav Oberoi氏に謝意を表する。
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