マイクロソフトの「Natural Ergonomic Keyboard 4000」は、エルゴノミクスデザインを採用したUSB接続のフルキーボードだ。本製品の最大の特徴は、何と言っても手元が持ち上がった異様なデザインであるが、実際の使い心地をレポートする前に、まずは基本的な仕様についてみていこう。
キー配置はオーソドックスな109キーボードと同様で、テンキー部の上段にカッコなどの追加キーが配置されている。中央のスペースキーはかなり大きく、幅は約15センチと、一般的な109キーボードの3倍はあろうかというサイズだ。その一方、キーボードの内側から外側に行くに従ってキーサイズは小さくなっており、特にエンターキーは一般的な109キーボードのエンターキーと比較してもかなり小ぶりだ。
キーボード最上部には、ウェブブラウザやデフォルトの音楽プレーヤー(Windows Media PlayerやiTunesなど)を直接コントロールできるホットキーが追加されているほか、キーボード本体中央にズームキー、下段に戻る/進むキーが配置されている。個人的には、右上に配置されている「電卓」キーがありがたい。
カラーは精悍なブラックを採用しており、各部のシルバーのパーツとあいまって高級感にあふれている。後述の通り、標準価格5700円とリーズナブルな価格設定であるが、実物をパッと見た限りでは、そのような安さはどこにも感じられず、数万円する高級品と言われても納得してしまう質感とデザインだ。
さて、本製品の最大の特徴は、何と言っても手元にいくほど持ち上がった異様なデザインである。詳細は写真を参照いただきたいが、現物を店頭で初めて見た時は、パーツの組み立て方を間違えているのではないか?と思ってしまったほどである。そもそもキーボードといえば、一般的には手元が低く、奥が高くなっているのが常識だ。それが完全に逆転しているのだから、違和感を感じるのも当然である。
が、一見キワモノに見えるこのデザイン、実際に使ってみると意外なほど両手にフィットする。このフィット感は、たとえばキーボードの手元に市販のハンドレストを置くことで手首を持ち上げる感覚とはまったく異なる。パームリフトで手首を持ち上げつつ、さらに中央で分割されたキーボード面が左右を向いていることから来る感覚の相違であり、市販の標準的なキーボードにハンドレストなどのサプライ用品を追加しただけでは絶対に味わえない感覚である。
この快適な感覚はあまりにも独特で、説明するにもなかなか表現が見つからないのだが、少なくとも本製品を使っている間は、マウスに手を伸ばすのがおっくうになることだけは事実だ。ホームポジションがあまりにも快適なため、右手をマウスに持っていくことすら、わずらわしくなってしまうのである。それほどフィット感が高いと解釈していただきたい。
一般的に、キーボードの操作性がよくないとオペレーションがマウス中心になったり、マウスの操作性が悪いと逆にキーボード中心になったりするものだが、本製品を使っている間は間違いなくキーボード中心のオペレーションになる。「エルゴノミックデザイン」を標榜するキーボードは数多いが、本製品の使い心地はそれらとはまったく異質である。
また、手元の合皮製パームレストのスベリ感がまた絶妙で、テンキーを打鍵するために右手をツツツーと横に滑らせるのがラクチンで、クセになる。どうせならこのパームレストがマウスの手元まで延びていればいいのに、と思う。
ただ、キータッチそのものについての評価はまた別である。筆者が常用している東プレ「RealForce106」と比較すると、キータッチはフニャフニャで、お世辞にも高級感があるとは言えない。また、スペースキーは横に長く押しやすい反面、押す位置によってタッチが大きく異なっており、ストレスが溜まりやすい。デザインそのものがよくできているだけに、惜しい部分だ。
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