次世代ゲーム機を巡る戦いでは、Microsoft、任天堂、ソニーの3社が戦うことになる。「全員が勝者」というシナリオを望む人も多いだろうが、現実としては、このうちの1社が敗者になるという。ゴールはまだ先だが、業界アナリストはすでに勝者と敗者を占いはじめている。
「PlayStation」と「PlayStation 2(PS2)」が前代未聞の成功を収めたソニーは、明らかにここ数年人気馬だった。だが、ソニーがトップから転がり落ちると予想する調査会社がある。DFC Intelligenceは米国時間6月30日付けのメモで、ソニーがトップから最後尾に落ちる理由を説明している。
同社のメモには、この予想は「いくつかのシナリオの1つにすぎない」とただし書きが添えてあるが、DFCは次世代ゲーム機では、Microsoftと任天堂が有力と見ているようだ。
ソニーが転落するとDFCが予想する最大の根拠は、ハイエンドの「PLAYSTATION 3(PS3)」に付けられた600ドルという価格だ。ソニー側は同ゲーム機のハードウェアを考えると高い価格ではないと主張しているが、DFCは、ユーザーはそうは思わないだろうと見ている。
「ソニーは、最新のゲーム機にはプレミアム価格を払う価値があるという理由を、消費者にきちんと説明できていない。彼らはハードウェアの性能をそれほど気にしていないし、ゲームユーザーは、オーディオビジュアル機器マニアとは違う」とDFCは書いている。「残念ながら、ゲーム機市場にいる消費者の90%以上はそういった人たちだと考えられる」
DFCは、購買者の意思決定においてはソフトウェアが大きな役割を果たすとし、PS2があれほどの成功を収めることができたのは、そのバラエティ豊かなゲームの品揃えとサードパーティからの強力なサポートがあったからだと指摘している。PS2は、その豊富に揃ったソフトウェア製品のおかげで、「300ドルを下回る完全な家庭向けエンターテインメントシステム」になることができたのだとDFCはいう。
「ソニーは、PS3によって、ハイエンド志向のパワーユーザーの獲得を狙っている。それはまるで、Coca-Colaが、ビジネスのやり方を新しく変更するだけでなく、低価格のソフトドリンク事業から撤退し、新たに高級ワイン市場への参入を決定したようなものだ」と、DFCは説明している。「もちろんハイエンド商品向けの市場は存在する。しかしながら、そうした市場は低価格の大量生産品市場と比較して、消費者のタイプが非常に異なり、また規模も非常に小さい。Wal-Martは、FAO Schwartzよりも多くの数のおもちゃを販売しているし、McDonaldだってRuth's Chris Steak Houseよりもずっと多くのハンバーガーを販売している」(DFC)
かといって、その方向性を簡単に改めるための有効な手だてもなさそうだ。DFCは、ソニーは現在の競争を甘く見すぎており、将来的に商品の値下げについて、特に売上増加の鍵となる2007年の年末商戦に向けて、問題が多発する可能性があるとみている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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