防衛技術関連企業のQinetiqが、ワイヤレス対応自動車の実現につながる技術開発に関する契約を結んだ。
英国のワイヤレスコンテンツ配信会社LastMile Communicationsとの間で交わされた今回の1160万ドルの契約は、2005年に交わされた提携を延長するものとなる。LastMileの株式1.5%を保有するQinetiqはこの提携において、ワイヤレスベースの技術を使った試作品を製造する。
LastMileのマーケティングディレクターGabriel Vizzard氏は米国時間6月5日、両社のスケジュールは「完全に予定通り順調」に進んでおり、LastMileは「その進展に満足している」と述べた。
「W-Direct」と呼ばれる同技術は当初、街灯柱を使ってテストが行われる。動作周波数は60GHzで、標準のWi-Fiより帯域幅が広がる。アイデアとしては、各街灯柱にワイヤレスノードを組み込み、その前を通り過ぎるワイヤレス対応デバイスを持った通行者すべてに向けて「場所ごとに戦略的に用意されるコンテンツ」を送信する。
Vizzard氏によると、これらのノードが近くのホテルやレストランに関する情報を提供し、テーブルや客室の空き状況、あるいはキャンペーン情報を知らせるという。ほかにも、近隣駐車場の空き状況提供などの応用が考えられる。
しかし、通行者向けの情報は第一段階に過ぎない。これらのノードから緊急サービス向けに重要な情報を提供する応用方法も提案されている。
「警察車両などにカメラを搭載し、警官が近くのノードで停車して画像をワイヤレス送信できるようにし、万が一その警官に何かがあった場合は情報を入手できるようにする、といったことが考えられる」(Vizzard氏)
最終的には、車両間の情報転送に利用可能な信頼性の高い技術を開発するのが狙いだ。
Qinetiqの関係者は、自動車事故が発生してエアバッグが作動したときに「システムが近くにいるほかの車両に事故発生を通知できる」というシナリオを説明した。
英国で行われる初期テストはアバティーダンディー大学で行われる。LastMileは、同校のSchool of Computing and Creative Technologiesと協力し、「学生が教科課程を履修できる場として」キャンパス全域へのノード設置を進めていると、Vizzard氏は語っている。
Vizzard氏は、「デバイスが改ざんされたり、リモート起動や管理が必要な場合にユーザーがコマンドを実行したり、コントロールできるよう、われわれのデバイスにはGeneral Packet Radio Service(GPRS)モデムも搭載されている」と付け加えた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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