米国務省購入PCの「スパイ疑惑」にレノボが反論

 5月19日、米国国務省は、2006年の3月20日にレノボから1300万ドルで購入した1万6000台のPCについて、安全問題を考慮して、機密文書を扱わない業務だけで利用するという発表をした。「国務省が購入したレノボ製PCのうちの900台をワシントンと世界各国の大使館を繋ぐセキュアネットワークに導入しようとしていた」と、共和党のFrank R Wolf議員が公開したのがその発端。その結果、米中経済安全保障関係検討委員会(the U.S.-China Economic and Security Review Commission)が一斉にレノボPCの導入に抗議し、今回の発表に至った。また5月19日の国務省の発表後、同社の株価は発表後5日間で10%以上値下がりした。

 この発表に対し、レノボの董事会主席の楊元慶氏やレノボの役員クラスの人々は、中国の各メディアに対して反論のコメントを出している。レノボがIBMのPC部門購入以降、米国においても米国のルールを守ってきており、かつ欧州などでは、すでに国防部門など政府部門からの受注を受けているというのに今回の仕打ちを受けたと不満を隠せない。また今回購入したレノボ製PCは、米国政府が導入したPCの1%に過ぎないにも関わらず、全世界で展開するレノボブランドに悪影響を与えると訴える。楊元慶氏はこう語る。

 「今回のレノボPCのスパイ疑惑は、米国の少数の国会議員やメディアで言われてきたことで、それが米国国会にあがってきたものなだけである。この市場化競争にそぐわない行動に対し、レノボは深い憂慮を表す。レノボは、米国政府が競争ののちにレノボPCを落札したことで分かるとおり、実力を伴った企業である。レノボは米国政府の要求にかなったPCをリリースした。レノボは完全に国際化した企業であり、中国が率先して国際化した企業であり、社会責任感を持った企業である。安全性に疑問を持ち、排除するような動きは、レノボの名誉を傷つけ、レノボの他の国際業務に悪い影響を与える可能性すらある。米国国内においては、中小企業や個人向け市場など、レノボがこれから広げようとしている市場もあるが、これら市場での今回の発表による悪影響もないとはいえなくなった。米国は他の企業もそう思うように最重要市場だ。われわれは米国に対し、公平構成な外国企業への待遇を要求する」

 さらにこんな意味深なコメントも。

 「もし米国政府がレノボに対してこのような態度を堅持するなら、中国政府も自身の安全に憂慮しているはずだ。既にレノボと中国政府は関係を築いているため、中国政府に今回起きたことを報告した。今後それにより真正面から建設的なフィードバックが行われるだろう」

 ただしそれが何なのか、詳しくは語られていない。

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