Samsung SemiconductorからノートPCユーザーに朗報だ。PCに搭載されて2007年に発売される同社のハイブリッド型ハードディスクを利用すれば、バッテリ駆動時間が30分ほど延び、コンピュータの起動時間も短縮されるという。
ハイブリッド型ハードディスクとは、データやアプリケーションを保存するフラッシュメモリチップを搭載したハードディスク。プロセッサがフラッシュメモリからデータを取得できるため、普通のコンピュータでは内部で常時回転しているドライブが、ほとんどスリープ状態でいられる。
Samsungのフラッシュメモリ担当ディレクターDon Barnetson氏によると、回転するハードディスクはコンピュータの部品のなかで最も電力を消費する部品であるため、これをアイドル状態にしておければ、ノートPCで約30分のバッテリ駆動時間を延長できるという。ハードディスクの「消費電力を約70〜90%削減できる」(Barnetson氏)
さらに同氏は、このドライブは故障の影響も受けにくいとも付け加えた。はるかに高速なフラッシュメモリからアプリケーションを取り出す場合、わずか数ミリ秒で完了するため、起動時間も高速化するという。ただし、ハードディスクの方が低速だが、データを大量に安く保存できる。
フラッシュチップには2種類の機能がある。Wordドキュメントを作成するときはデータが直接フラッシュに書き込まれる。そして、フラッシュチップがほぼ満杯になると、ハードディスクがスリープを解除してデータを引き受ける。PCメーカーのなかには、確実に起動時間を短縮するため、一般的なアプリケーションと一緒にメディアやミュージックプレーヤーを組み込むところも出てくるかもしれない。
Intelも、「Robson」と呼ばれ、プロセッサがフラッシュメモリからデータを取り出せるようにする同様のコンセプトに進めている。最終的にできることはどちらも同じだが、Robsonではフラッシュ、プロセッサ、そしてハードディスク間のやりとりが異なると、Barnetson氏は語っている。
Samsungは、ハイブリッド型ハードディスクの試作機を2004年のWinHecで公開した。そして同社は、米国時間5月23日から始まる2006年度の同ショーで市販用ハイブリッド型ハードディスクを公開する。
Samsungのハイブリッド型ハードディスクはWindows Vistaに対応しており、さまざまな容量のものが2007年発売のコンピュータに搭載される。そして、これらのドライブには128Mバイトもしくは256MバイトのSamsung製OneNANDフラッシュメモリが搭載される。OneNANDは、典型的なNANDメモリよりも大幅に高速動作する。
Samsungは、同ハードディスクを製造するだけでなく、ハードディスクへのフラッシュの組み込み方を他のハードディスクメーカーに指導もする(Samsungは、世界最大のNANDフラッシュメーカーであり、OneNANDは同社のみが販売する独自製品である)。
Barnetson氏によると、ハードディスク内部にはフラッシュメモリがすでに搭載されているという。ただし、アプリケーションやデータを保存できるほど容量が大きくない。
ハイブリッド型ハードディスクは、MicrosoftブランドであるReadyDriveという名称で販売される予定だ。その結果、例えば、ノートPCの仕様書には、「Windows Ready Driveで拡張された100GBドライブ」と掲載されることになる。
また、SamsungはMicrosoftと協力してReadyBoostへの取り組みを進めている。ReadyBoost(別名EMD)では、コンピュータに差し込まれたフラッシュメモリキーが、メインのメモリを補う役割も担う。この技術を使うことで、次期OSであるWindows Vistaを現行のコンピュータにロードすることが容易になる。Windows Vistaが必要とするメモリ容量は、Windows XPに比べて増加する。Microsoftは、消費者が使用しているコンピュータではOSのアップグレードが進まないという問題にこれまで直面している。これは、ソフトウェアのアップグレードにより、ハードウェアのアップグレードも必要となるためだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス