ワコムは5月11日、2006年3月期の決算および事業戦略を発表した。20年以上にわたってペンタブレットの開発を行ってきた同社は、日本のみならず世界でも大きなシェアを持つ。売上高は前期比35.9%増、営業利益は86.0%増と、売上高、営業利益ともに過去最高を更新している。
90年代から2000年にかけて急成長を遂げたCGの普及、ウェブデザイン、ビデオ編集などの用途の増加に伴い、順調に年々売り上げを伸ばしてきた。ハリウッドにおける映画制作では、ほぼ100%のシェアを持つという。プロフェッショナルの市場のみならず、近年では、ブロードバンドやデジカメの普及などにより、コンシューマー市場でも幅広く受け入れられているという。日本におけるコンシューマー向け製品の約半分のユーザーが10代〜20代の女性で、デジカメの画像をプリクラ的に加工するなどして楽しんでるという。「タブレットなどと言わず、“ペンタブ”や“ペンタ”と呼ばれている」(代表取締役社長 山田正彦氏)と、若年層に親しまれていることをアピールした。
また、タブレットPCやUltra-Mobile PC(UMPC)で使用されているタブレットのセンサのほとんどに同社の技術が使われている。年末から来年春にかけて登場予定のWindows Vistaにもビジネス向けバージョンやHome Premiumには標準でタブレット機能をサポートするとされており、「マウスに代わってペンの時代が始まると考えている」(山田氏)と語る。OSレベルでのサポートは、同社にとっても大きな追い風となりそうだ。
現在も、携帯電話やPDA、デジタルペーパー、ゲームなどの新しい分野向けにもワコムの技術搭載を働きかけているという。今後は、直感的でだれもが使えるモノづくり、リアルタイム通信機能、音声、文字、画像、インクを統合処理できるなど、「世界につながる紙とペン」をテーマとし、テクノロジーの標準化、デジタルペーパーのデファクトスタンダードを目指す。いま、ペンを持っていればどの紙にも書けるのと同様に、「タブレットのペンを持っていればどこにでも安心して書けるようにしたい」と語った。
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