Homer氏は、「BitTorrentの利用者は、無料コンテンツを欲しがり、それを奪いたいと考えている」と述べ、さらに「ファイル交換をしている人々は違法なコンテンツを探している。したがってメディア制作者たちにとって、彼らははさほど魅力的な存在ではなかった」と語った。
BitTorrent社長のAshwin Navin氏は、同社の技術は違法目的にのみ利用可能であるとの説を完全に否定する。Navin氏は、企業としてのBitTorrentは常に模範的な企業市民であり続けてきたと語った。同社がWarnerと提携した理由は、その提携が間違いなく成功するからだ。同社はWarnerとの提携を足掛かりに、今後も多くの企業と提携して行く計画だ。
Navin氏は、「BitTorrentにまつわるマイナスイメージのほとんどはマスコミが作り上げたものだ」と指摘し、さらに次のように続けた。「今やBitTorrentはユーザーたちの間で、『高速のオンデマンドエンターテインメント』の代名詞になっている。今後はコンテンツプロバイダーもBitTorrentをそのように見るようになるだろう」
BitTorrentは、まず1つのファイルを複数の小さな断片に分割し、それらを複数のコンピュータに配布する。そして、ユーザー同士が、それらコンテンツの断片を互いに共有し合う仕組みだ。このシステムを利用することにより、コンテンツプロバイダーは帯域幅にかけるコストを削減できる。
このBitTorrentは、たしかに大容量ファイルを転送するには便利だが、優れた消費者サービスであるか否かは未知数だ。エンターテインメント企業の幹部らは、インターネット上で大々的に映画を配信するにあたり、ビデオがどこに配信されるのか、視聴者は誰か、誰が料金を支払うのかについて、管理権を完全に掌握したいと考えるだろうと、Kontikiの元CEOのTodd Johnson氏は指摘する。
Johnson氏は、「これは極めて複雑な問題だ」としたうえで、「果たしてBitTorrentが全ての管理権をエンターテインメント企業に与えることと、コンテンツ所有者からの要求に応えることを両立できるか、とても興味深い」と語った。Johnson氏はKontikiで、AOL Time WarnerやBBCといったエンターテインメント企業と提携する業務に携わった経験がある。
高画質のインターネットビデオに対する需要が高まりつつあるなかで、PtoP技術が今後さらに魅力的な技術になるとの見方に業界の誰もが賛同している。
(ビデオの)画質が向上すればするほど、その分ブロードバンドシステムを通じて送信しなければならない情報量も増える。例えば、Apple Computer は人気ドラマ「Lost」をiTunesを通じて販売する場合、200Mバイトのデータを顧客に送信しなければならない。長編映画ともなれば、データ容量は500Mバイトにも達する。高画質の映画を配信するための費用で、コストが一気に10倍に跳ね上がる可能性もあるとGupta氏は指摘する。
「コストを低く抑えることが目下の最重要課題だ」(同氏)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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