カリフォルニア州サンタクララ発--めまぐるしく変わるデータベース市場の様相を反映するかのように、MySQLの最高経営責任者(CEO)であるMartin Mickos氏が、Oracleの製品を事実上「欠陥品(crippleware)」と呼んだ直後に、同社をパートナー・オブ・ザ・イヤーに選んだ。
Mickos氏は、米国時間4月26日に現地で開催されたMySQLのユーザーカンファレンスでOracleを称賛し、同時にそのソフトウェアの一部の要素を非難した。こうした両極端な発言が生まれた背景には、MySQLが、Oracleが2005年に買収した「InnoDB」ソフトウェアに依存していることや、競合社としての存在感を急激に高めたMySQLに対抗するため、OracleおよびIBMがエントリーレベルのデータベースを無料で提供していることなどの事情がある。
Mickos氏は、今もオープンソースソフトウェアのまま維持されている「ストレージエンジン」InnoDBについては、大いに評価している。「われわれはOracleと数年におよぶ契約更新を行った」(Mickos氏)
反対に、Oracleの「Express Edition」やIBMの「DB2 Community Edition」などの無料データベースは、より高価な完全版を顧客に購入させるためのエサとして作られた「欠陥品」だと切り捨てた。
「フリーという言葉を用いてアピールしているにもかかわらず、Express Editionなどには自由性がいっさいない。無料だがソースを非公開としている製品を提供する場合は、ユーザーが非常に高価な上位版へアップグレードしなければ、何の利益も得られない仕組みになっている」(Mickos氏)
これとは対照的に、Mickos氏のMySQLをはじめとするオープンソースデータベース企業は、顧客に高い製品を売りつけなくとも、バグの修正や開発コミュニティによるサポートといったさまざまな協力を得られることから、無料版のみを提供していても十分な利益を上げていると、同氏は主張している。「有名なウェブサイトのうちのいくつかは、MySQLを利用している。われわれは毎月のようにそうしたサイトを検分して、『次はどうして欲しい?』と尋ねるようにしている」(Mickos氏)
プロプライエタリソフトウェア企業と競合するオープンソース新興企業は数あれど、Mickos氏のMySQLはひとかどの勢力を誇っている。MySQLの2005年の売り上げは4000万ドルに達しており、GoogleやYahoo、PokerRoom.comなどのオンライン企業に利用されているという点も同社のソフトウェアを際だたせている。当のOracleさえ、MySQLを買収しようと試みたことがある。
MySQLは今週、Hewlett-Packardとの間に新たな3年契約を結んだ。同契約の下、HPはMySQLのソフトウェアを再販し、サポートを提供し、共同マーケティングおよびトレーニングに関わっていくことになると、2005年11月にHPのOpen Source and Linux Organizationのプレジデントに就任したChristine Martino氏は話している。同カンファレンスでは、Mickos氏に続いてMartino氏もスピーチをした。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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