Royal Philips Electronicsが、テレビの視聴者がコマーシャルの間にチャンネルを変えられなくする、あるいはデジタルビデオレコーダー(DVR)コンテンツのCM部分を早送りできなくする装置を発明した。
この制限を受けないようにするには、放送局に料金を支払う必要がある。この制限機能は番組単位で実装でき、視聴者が各番組の開始時にいずれかを選択できる。
先ごろ公示された特許によると、この装置はセットトップボックス内部で機能する仕組みだという。これはMultimedia Home Platform(MHP)規格を使って最初の制御信号を受信し、テレビを制御する形で応答する。MHPはさらに、パイパービューコンテンツの認証時に制限を解除する支払情報も送信可能だ。
これが実装されると、テレビ文化に重大な影響を与えることになる。
テレビ視聴者の多くは、コマーシャルの間にチャンネルを切り替えて複数の番組を見ることに慣れている。Philip製のリモコンは現在、自動的に元のチャンネルに戻るボタンを用意し、そのような要求に応えている。
提案されている装置は、DVRを使ってコマーシャルを飛ばし、両親から許された視聴時間を最大限に活用している子どもたちから悪い評価を得ることにもなる。DVRには、1つの番組を録画しながら別の番組を見られるようにする技術もある。
ではなぜ、テレビメーカーが自社の消費者ベースを怒らすようなリスクを負うのだろうか。
Philips Internationalの広報ディレクターCaroline Kamerbeek氏によると、同社はコマーシャルの視聴を強制したいのではなく、この技術によってオンデマンドテレビの新しい視聴パラダイムを開拓したいのだという。
しかし、Philipの米国特許番号20060070095を見ると、この装置の機能には強制の可能性があるのが分かる。この装置には以下の機能がある。
(1)広告表示中は(録画ではない)直接配信された番組を視聴者が切り替えられないようにする。(2)録画された番組については、一緒に録画された広告を飛ばすための早送りができないようにする。視聴者は、そのまま広告を視聴するか、料金を支払うことでチャンネルの切り替えや、早送りを行うことになる。
特許自体も、この機能がテレビ視聴者を怒らせる可能性があることを認めている。特許では、制限が視聴者に混乱を与える可能性があること、そして、このような装置を搭載したことで、放送局ではなく、セットトップボックスメーカーが視聴者から責められる可能性があることを警告している。
Kamerbeek氏は、「われわれは技術を提供するだけだ。この技術をどう使うかは、放送局次第だ」と述べる。「この発明は、コマーシャルのある映画を見るか、コマーシャルのない映画を見るか、視聴者に選択肢を与える。その実現には、両方の選択肢が必要だ」(Kamerbeek氏)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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