この「SV-SD570V」を始めとする、「D-snapオーディオ」の大きな特徴が、メディアにSDメモリーカードを使っていること(一部、メモリータイプもある)。iPod、ウォークマンを始め、他社のほとんどの製品が交換のできないフラッシュメモリーや超小型のハードディスクを使っているのに対し、D-snapはメモリーカードだけを買い足せばいつでも容量を増やせるのがメリットだ。
たとえば、D-snap本体と1GBのメモリーカードを買う、といった場合、フラッシュメモリータイプの1GBの製品と比べると若干の割高感はある。しかし、買ったあとで「1GBでは足りない」と思ったときには、カード交換式のほうが有利になる。さらに、たくさんの曲を整理したり管理したり、といった面でもカード交換式のほうがラクだと考えるのは、筆者だけではないと思う。
割高感がある、とは言ったが、同梱品をみれば納得できる。本製品には、通常のヘッドホンとUSBケーブルはもちろん、他社製品では別売になっているような、ACアダプター、クリップホルダー、ネックストラップ一体型のヘッドホンまでもが付いてくる。ただし、残念(当然?)ながらSDメモリーカードは別売となっている。
「SV-SD570V」は、この4月に発売された「D-snapオーディオ」の新製品6モデルの中でも、中堅に位置するモデル。FMチューナーを備え、ボイスレコーディングやFMの録音もできる多機能モデルである。デザインは、ほかのモデルと違い高級感のあるラウンドの付いた鏡面仕上げで、サイズはオイルライター(Zippo)より少し大きいくらい(W45×H57.5×D15mm)。ソニー・ウォークマンAシリーズの4辺を直線で切って小さくしたような感じで、好みが分かれるところだろうが、筆者はあまり好きではない。
好みはさておき、小さく軽いのはいいが、ボタンも小さいため、操作にはちょっと気を使う。特に右側面にある「Mark」ボタンは極端に押しにくく感じた。このボタンは、ボイスレコーディング時に録音ボタンとして使うものなので、もう少し配慮してほしかったところ。
充電は、付属のACアダプターで行う。USBケーブルでパソコンと接続したときにも充電が行われるが、フル充電はできないとのこと。充電池は、いわゆるガム電池の半分の大きさのもの(角形ニッケル水素充電式電池)で自由に交換ができる。また、このモデルには外付けの電池ボックスが付属しており、乾電池を併用することもできる。充電池のみで約25時間、乾電池(単三形アルカリ乾電池1本)を併用することで最大約115時間の再生時間が可能だ。
対応フォーマットは、AAC、MP3、WMAの3種類。残念ながら、AACはアップル社(iPod)とは互換性がない。また、製品付属のソフトでは、CDからのMP3形式での取り込みができない。さらにAACにおいても、64kbps、96kbps、128kbpsの3種類、WMAでも64〜192kbps(とMono 32kbps)しか選択肢がないのも残念。AACの128kbpsに大きな不満はないのだが、「どうしても高音質で」というときの余裕はほしい。
CDからの曲の取り込みやCDカードへの転送は付属の「SD-Jukebox Ver.5 Light Edition」というソフトを使うが、さらに別売の「SD-Jukebox Ver.5 Standerd Edition」を使えば、MP3での曲の取り込みなども可能になるという。「SD-Jukebox Ver.5 Standerd Edition」は、パナセンス(松下電器グループのショッピングサイト。)でのみ販売されており、税・送料込みで、3,990円。サイト内での商品カテゴリーは「携帯電話用ソフト」となっているので、よく探してみよう。
ボイスレコーディングとFMラジオの録音は、16bit、8kHz、モノラルのWAVフォーマットで記録される。録音されたものは、SD-Jukeboxとは別の「Voice Editing」というソフトで行う。このソフトを使えば、再生速度の変更、AB間リピートなどが可能になる。
「FMが録音できる」というフレーズに飛びつくのは待ったほうがいい。FMで録音したい番組が音楽番組なら、モノラル、8kHzというクオリティには満足できないだろう。逆にボイスレコーディングについては、十分なクオリティだし、語学番組、情報番組を録音する、というのなら役に立つだろう。欲を言えばきりがないが、タイマー録音などもできないので、FM録音はオマケと割り切ろう。
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