ワシントン発--連邦規制当局は米国時間4月12日、ここ数年間で最大の無線周波数帯競売における競争を活性化するために、一定の条件下であれば入札者を特定する情報を伏せることができる規定を可決した。
連邦通信委員会(FCC)は、2006年6月29日に90MHzの無線周波数帯の競売を予定しており、政府はこの競売で80〜150億ドルの収入を得ると見込まれている。多くの企業が、同周波数帯の1122件におよぶライセンスをめぐって争奪戦を繰り広げることになるだろう。ライセンスを取得できれば、音声やデータ、映像などのコンテンツの高速通信が可能な第3世代(3G)モバイルネットワークを拡大していくことができるからだ。
FCCは10年以上前から、1回の競売が終了するごとに、各ライセンスの入札者の身元と入札価格を公開するようにしてきた。電子的に行われる周波数帯の競売は、入札対象となるライセンスの数によって、数日から数カ月続くのが普通である。
しかし、FCCが今年1月に発表した公示(PDFファイル)には、こうした慣習が競争の低下を招くおそれがあるという懸念が示されていた。
規制当局は、エコノミストによる研究報告などからも明らかなように、複数のオークションが同時進行する中で入札者の情報が公開されると、一部の不届きな参加者がそうした情報を利用して互いに「示し合わせる」可能性があると述べている。談合することで、ライセンスに本来の市場価値より低い値を付けて入札価格を調整したり、競争相手を蹴落としたりするわけだ。
12日の会議では、出席した4名のメンバーが、十分な競争が存在することをFCCが事前に確認した場合においてのみ、「匿名」もしくは「無記名」の入札を許可する妥協案に発声投票で賛成した。この決定は、参加を申請した入札者の数と彼らが事前に支払う料金について規定する条文に基づくもので、同料金の支払い締め切り日とされている6月1日までに実施されることはないと見られている。
同委員会は当初、一定の競争が存在しているしていないに関わらず、匿名入札を実施したいと考えていた。米司法省や複数の消費者保護団体も、匿名入札は公正な競売を助長する最善の選択だとして、委員会の考えに賛同していた。だが、全国的に事業を展開する無線キャリアの大半が、入札者の情報公開が乱用に結びつく証拠は存在しないと主張して、これに異論を唱えた。
米国最大のキャリアであるCingular Wirelessは、FCCの提案を「問題を探し求める解決策」と評している。
FCCの議長を務めるKevin Martin氏は、委員会は競売の規則を現行のまま放置することを「快く思っていない」と述べた。また、競争を助長するための決定を下し、T-Mobileのコメントで示唆されたような変更を行った背景について、「われわれはみな、どのような予測もつかない結果が出るのか当たり前の不安を抱いているが、同時に、談合や競争阻害行為が起こるかもしれないと懸念している」と説明した。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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