小池:それでは、今の会社、株式会社Zeelのことを聞かせてください。
尾関:今はですね、アパレルのECショップをやってます。まだ小物が多いのですが、メンズのビジネスマン向けに特化したショッピングサイトです。まだまだこれからなんですけどね。
小池:そこに目をつけたというか、こうやりたいと思った戦略とか思いとかあったの?
尾関:それも大学院に行ってる時に、今の会社の役員をやってもらってる友人が、 「ベンチャーやりたいんです」と言っていて、最初は「じゃあやれば、応援してあげるから」と言ってたんですよ。で、たまたま僕はその頃ネットで洋服買いたかったんですよ。それでこういう風にしてみたらとか、気軽に自分で欲しいと思ったものが買えるショップがあるといいなぁ、なんて話していたのがきっかけで すね。
小池:自分のニーズを商売にしたんだね。
尾関:自分が欲しいモノを作って、スタイリストが付けば便利だなと。
小池:ふうん。
尾関:うちがやってるサービスってのが、スタイリストが選んでくれるというサービスが売りなんですよ。それも、僕が自分で、選んでもらいたいスタイリストに選んでもらえると楽だなぁってのもあったので、そこから来てるんですよ。
小池:で、商売の方はどうですか?
尾関:まだまだですね。
小池:そんなに大きな投資が必要な訳ではないでしょ? 自分でオリジナル商品を作ってるの?
尾関:そうではないんですけど、結構思ったより開拓に時間が掛かってしまうんですよ。アパレルのメーカーさんはブランドをものすごく大事にしてると言うか、そう簡単に売らなかったりとか、まだネットに対してネガティブなイメージを持っているところが多いんですよ。ネットに出すとブランドイメージが下がるとか、そう思ってる人が多いんですよね。有名ブランドも最近になってやっとネットに傾き始めた感じなので、やっと風向きが変わって来た感じはしますね。
小池:じゃあ有名ブランド品は扱わないという感じなのかな?
尾関:そういう訳でもないんですけど、レディースだと小さなブランドが多いんですけど、メンズだと大きなところばかりで……。ちっちゃいところでイケてるところが意外と無いんですよね。
小池:海外に、イタリアとかに買い付けに行ったりしないの?
尾関:もちろんしてますよ。今度、イタリアのセレクトショップのものをそのまま買えるようになりますしね。
小池:じゃあ今はそのビジネスを大きくしていこうという訳なんだ。
尾関:そうですね。
小池:あと、西麻布でBARをやってるじゃない(編註:西麻布 Birth)。あれはどういった経緯で?
尾関:大学の頃の知り合いからの話ですが、たまたま良い条件の物件が出たんで、「リアルな場での遊びってのも面白いんじゃない?」って話になって、やってみようかと(笑)。結構大変だったんですけどね。だんだん現場ものってきたんで……。
小池:業界で人脈があるからお客さんには困らないんじゃないの?
尾関:みなさん忙しいからなかなか来てもらえなくて(笑)。まぁ、でも一般の人が来てくれないとね。
小池:ちょっと敷居が高い感じがするしね。
尾関:宣伝とか一切してなかったですし、しかも入り口がちょっと挑戦的と言うか「入るなこの野郎!」みたいな感じで(笑)。そこを入って来る人が面白いかなぁ……なんて。でも段々と口コミで広がって来てますよ。
小池:あそこは出会いの場としてはすごくいいよね。
尾関:最近、サロンとかやってみたりしてますしね。
小池:あれで何人くらい集まるの?
尾関:100人くらいですかね。ビットバレーと違って、限定人数でやってます。
小池:そういうときは貸し切りにしちゃうの?
尾関:そういう場合には、貸し切りでイベントやってますね。
小池:あと、ファンド運営やってるのは公にしてるの?
尾関:そうですね。太河とちっちゃくやってますけど。
小池:そちらはどうですか?
尾関:まぁ、ぼちぼちって感じですけどね。
小池:今、何件くらい投資してるの?
尾関:今は7件くらいですかねぇ。
小池:どういうところが多いの?
尾関:やっぱりIT系が多いですね。
小池:米国だと、シリアル・アントレプレナーと言って、何回も何回も起業を繰り返す人が多くなってるんだよね。
尾関:そうなんですか。
小池:尾関君も新しモノ好きで飽きっぽいところがあるから、会社を作っては軌道に乗ったら誰かに経営は任せて、次の新しい会社を起業していくというシリアル・アントレプレナーを目指してもいいかもね。これからもマイペースでチャレンジしていって下さい。応援してます。
尾関:ありがとうございます。
(2005年10月. Zeelにて)
尾関君は自らも言っているように「お気楽起業人生」をマイペースで肩肘を張らずに実践しています。好きなことを好きな時にやる。これはいい加減なようでいて、実は起業家が事業を起こすモチベーションとしては最も重要なものです。やらされる仕事はうまく行きません。一度しかない人生ですからやりたい事をやりたい時にやる。これが起業を決意し実行する時の最大の推進力になります。起業は決して「人生を賭けて失敗したら一生終わり」というスタンスで取り組むものではなく、「失敗を恐れずチャレンジする」ことが重要です。
iSi電通アメリカ副社長としてGEおよび電通の各種IT、マルチメディア、インターネット・プロジェクトに従事。1997年にiSi電通ホールディングスCFO兼ネットイヤーグループCEOに就任。シリコンアレー、シリコンバレーを中心にネットビジネスのインキュベーションおよびコンサルティング事業を展開。1998年にネットイヤーグループをMBOし独立。1999年に日本法人ネットイヤーグループおよびネットイヤー・ナレッジキャピタル・パートナーズを設立。現在、ネットエイジグループ代表取締役、ネットエイジキャピタルパートナーズ代表取締役社長などを務める。日米IT・投資業界での20年以上の経験を生かしベンチャーの育成に注力。
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