大手企業のマーケティングに使われるモバイル広告--ディーツーコミュニケーションズ - (page 2)

永井美智子(編集部)2006年04月12日 14時37分

ワンセグがモバイルに対する意識を変える

 モバイルがキャンペーンに有効な媒体だという認識が少しずつ広がるなか、藤田氏は今後、モバイル広告市場が拡大するための課題についてどう見ているのだろうか。

 ビデオリサーチが、10代〜40代の男女の「平日に自由な時間があるときにすること」を調べたところ、モバイルインターネットがほぼすべての層で5位以内に入ったものの、唯一M2層(35才〜49才の男性)だけが14位だったという。

 これは、携帯電話をビジネスシーンで利用することから始めた層には、携帯電話に対してビジネスツールのイメージが強いためだと藤田氏は分析する。

藤田明久氏 携帯電話にはエンターテインメント性こそ重要と語る藤田氏

 「M2層はiモードが始まる前に、携帯電話をビジネスで使うために持ち始めた人が多く、利用は通話が中心。しかも、『携帯電話があるといつでも仕事の連絡が届いてしまうから持たない』という声に代表されるように『携帯電話=仕事」というイメージがある」(藤田氏)

 これに対して、若年層や主婦を中心としたF2層(35才〜49才の女性)は、携帯電話を使い始めた頃から着メロやゲームなどのエンターテインメントコンテンツがそろっていた。このため、「携帯電話は楽しいものというイメージを持っており、『携帯電話なしでは生きていけない』というくらい日常生活に密着したものとなっている」という。

 ただし、今後はM2層も仕事以外でのモバイル利用が増えてくる可能性が高いと藤田氏は話す。その起爆剤として期待するのが、4月1日から始まった携帯電話向けの地上デジタル放送「ワンセグ」だ。

 「ワンセグは野球、相撲、競馬など、40代以上の男性が好むようなコンテンツが携帯電話で見られる。携帯電話が楽しいメディアだと思ってもらえるようになれば、モバイルに対する接し方が変わる可能性がある」(藤田氏)

求められるモバイル企業サイト

 もう1つの課題は、ナショナルクライアントのモバイルを使ったマーケティングへの認識向上だ。広告主の裾野を広げることが、市場拡大には欠かせない。

 ここで鍵になるのが、企業のモバイルサイトの構築だと藤田氏は指摘する。同氏によれば、恒常的にモバイルサイトを持っている企業は5%程度にとどまるという。PC向けの企業サイトはほとんどの会社が持つようになったが、ユーザーの興味や関心にモバイルだけですべて答えられる体制を整えている企業はまだ少ない。

 つまり企業側は、外出中に屋外広告や店舗内のPOPを見たり、家のリビングでテレビCMを見たりして、商品やサービスに関心を持ったユーザーに対して、モバイルでの受け皿を用意しきれていないのだ。ここにマーケティング上、大きなロスが生まれているという。

 そこでD2Cでは、企業のモバイルサイトの制作や運営にも乗り出している。また、モバイルキャンペーンサイトでは、オリジナルの着メロや待ち受け画像、自分の顔を撮影した写真を送るとオリジナルのグリーティングEカードが作れるコンテンツを用意するなど、ユーザーの興味を引くようなサイト作りをしている。

 「PCとモバイルでは、同じことをしようとするほど失敗する。PCとモバイルでは情報の伝え方を変える必要があるし、そもそもユーザーがPCとモバイルに同じものを求めてはいない」(藤田氏)

 D2Cでは、ユーザーの行動やニーズに合わせたモバイルサイトを制作できる点が強みだとしており、うまくエンターテインメント性を持たせることで効果の高いサイトを制作し、ナショナルクライアントのモバイルマーケティングへの理解を高めていきたいとしている。

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