「いつかツケがまわってくる」--R・ライシュ元労働長官、米国社会に警鐘 - (page 2)

文:Elinor Mills(CNET News.com)
編集校正:坂和敏(編集部)
2006年03月09日 15時28分

 グローバル化の脅威に対する懸念については、Reich氏は誇張されすぎていると指摘した。アウトソーシングに対抗するための鍵は、労働者が製品に付加価値を付け、製品自体の競争力を上げるような雇用を創出することだ。「多くの好機を見出すことができれば、グローバル化はわれわれに有利に働く」と同氏は語った。

 その一例として、Reich氏は、数年前に自分が腰の手術を受けた時のエピソードを紹介し、この時装着された人工ヒップはフランスで設計されドイツで作られたものだと語った。Reich氏は「私の腰はフランス人のデザイナーがつくったものだ」と冗談を飛ばした。

 Reich氏は「世界中のIT関連職の数が固定されていて、インドが仕事を取ればその分米国の仕事が減るというわけではない」と述べた上で、「実際、現在の米国内のIT関連職の数はかつてないほど多い」と付け加えた。

 米国民の職が奪われ、ソフトウェアが工場やオフィスの従業員に取って代わりつつあるのは、必ずしもIT職がアウトソーシングされているからではなく、ITそのものもその一因だ、とReich氏は指摘した。同氏によると、中国でさえも、さまざまな技術の導入により工場の効率化が図られたことで、製造に要する人員の数が減り、その結果、製造業の雇用者数が減少しているという。

 一方、老後のための貯蓄ができないという共通の問題を抱える1946年から1964年の間に生まれた7600万人のベビーブーマーたちの存在を考えると、今後さらに、財政や医療の問題に注目する必要がある、とReich氏は指摘した。

 同氏によると、ベビーブーマーたちは、彼らの両親の時代のように就労期間中に賃金が大幅に上昇しなかったため、希望していたほど老後のための貯蓄ができなかったという。

 「社会保障制度は今後75年間にわたって比較的良好な状態を続けるだろう。社会保障制度は問題ではないが、医療制度が非常に大きな問題になる」(Reich氏)

 ベビーブーム世代が職場を離れるのに従って、厳しい人材難が生じるだろうと同氏は予想を述べた。企業各社は家族にやさしい環境を提供して、従業員の留保に務めるべきだと同氏は示唆した。

 ITは、とくにバイオテクノロジやエネルギー、医療などの分野で効率改善のために必要とされている。これらの分野は最も生産性が低いことで知られている。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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