熱問題を解消できるか--データセンターで注目され始めたDC給電システム

文:Stephen Shankland(CNET News.com)
翻訳校正:尾本香里(編集部)
2006年03月03日 16時01分

 電力供給には直流(DC)方式が最適であると主張したエジソンは、かつてはこの論争で負けたかもしれない。しかし今になって彼のアイデアは、データセンターの消費電力の増大と冷却の問題への解決法をめぐる争いで優勢になりつつある。

 発電所から壁ソケットまでを流れる電気については交流(AC)方式が主流である。しかしコンピュータ内の短距離伝播についてはDC方式が普及している。より効率的にACからDCへの変換を実現する方法が研究されていることで、一部のデータセンター企業はDCを中心としたエンジニアリング手法を検討し始めている。

 DCの売り込みで目立つのは、サーバ市場の新参企業であるRackable Systemsだ。同社のおかげで、かつてはないがしろにされていた電力効率性の問題が脚光を浴びるようになっている。Sun MicrosystemsやIBMはコンピュータの消費電力と冷却が重要な問題であることについてはDC支持者らと意見を共にするものの、これらの既存サーバ企業各社は概してDCをその解決法とすることには同意していない。

 DC支持者らは、サーバ外でDCを使用することで、AC/DC変換時の電力供給の非効率性の一部が除去されると論じている。AC電力供給によらないサーバは、これほど多くの廃熱や付随コンポーネントの不具合といった問題に対応する必要がないという。

 「AC方式によるものと比べると、装置のシャーシ自体の温度が著しく低く保たれ、約10〜20%(の電力コスト)を節減することができる」とフロリダ大学のシニアシステムエンジニアであるCharles Taylorは述べる。Taylorは2005年10月、84万ドルにのぼる200台のRackableのサーバを、同大学に小型スーパーコンピュータとして設置した。

 DC方式の冷却法を取り入れたサーバを使用することで、不十分なエアコンの問題を回避することが出来たと、Taylorは述べている。

 しかし、DC議論は言葉巧みな売り込み話であると考える者もいる。

 「われわれの競争業者の1社がDCの効率性が高いという神話を作り上げた。しかし実は、その逆のほうが正しい」とSunのサーバ設計者のトップであり、エンジニアとしても評価の高いAndy Bechtolsheimは述べている。

 Uptime Instituteに勤めるデータセンターの専門家Bob Sullivanは、DC方式を支持してきた通信事業者さえも、AC給電を採用し始めていると述べる(通信事業者は、交換局というデータセンターのような施設内で交換機を管理している)。

 Sullivanは、給電方式としてDCが採用されているデータセンターについて「特殊なケースだと思う」と述べる。交換機が設置されている通信事業者の施設の中は、交換局というよりも、コンピュータルームといったイメージに近い。こうした施設の中に運び込まれる機器の多くは、AC方式で給電される。

 この記事に対するコメントをRackableに求めたが、同社は、米証券取引委員会(SEC)が義務づける静粛期間中であるとして、コメントを控えている。同社は、第2次売り出しで330万株を売却し、新たに資金調達する計画だ。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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