ライブドア、上場廃止懸念が高まる影で米投資会社らが大量保有 - (page 2)

別井貴志(編集部)2006年02月22日 20時33分

 こうした機関投資家の大量保有の真意ははかりかねるものの、ライブドア本体の粉飾決算容疑を受けて、上場廃止懸念が一層高まった。現在は監理ポストで取引されているが、上場廃止基準に該当すると判断されれば、上場廃止を投資家に知らせ、投資家が整理売買できるようにするための整理ポストに割り当てられる。整理ポストにおいては、原則として1カ月間売買した後に上場廃止される。

 上場廃止について、東京証券取引所の西室泰三社長は2月21日の記者会見で、「再逮捕なりという時に、その理由や趣旨説明の中で、第三者が見ても非常にクリアに『これは犯罪であった』ということ、あるいは『虚偽であったということ』がはっきりするのであれば、やはり上場廃止の方向にいかざるを得ない」と述べた。

 第三者が見てもはっきりするという点について具体的には、「ライブドア、ライブドアマーケティング自身が『たしかに違反がありました』『虚偽でありました』と情報を開示することだ」とした。また「検察あるいは証券取引等監視委員会によって何らかの時点で、虚偽の操作が行われたということがはっきりすれば、やはり上場廃止の手続きに入らざるを得ない」とも付け加えた。

 事件以降、株価が下がって損失をかかえた投資家は多い。2005年9月末現在で22万人いたとされるライブドアの投資家の中で、同社株に見切りを付けた投資家がどれほどいるかは見当もつかないが、上場廃止ともなれば倒産とは異なって株券が紙くず同然になるわけではないが、株を売る機会は圧倒的に少なくなる。

 こうした中、ライブドアへの投資で損失を被った個人投資家を保護するために「ライブドア株主被害弁護団」が、2月21日に結成された。弁護団団長で弁護士である米川長平氏は、「ライブドア、ライブドアマーケティングおよび堀江貴文ほかの会社役員に対し、証券取引法違反に基づいて損害賠償請求訴訟による民事責任を問うために結成した」と説明した。

 投資被害を扱う弁護士らで構成される東京の研究会が1月28日に開催した金融商品被害110番に寄せられた相談案件142件のうち、8割強の117件がライブドアの相談で占められていたという。そして、その中には虚偽情報に踊らされて多額の損失を被った人、とりわけ高齢者や年金生活者なども存在していたが、このような実態は全国的な被害者数からするとほんの氷山の一角で放置できないとした。そして、3月5日には東京で被害者説明会が開かれる。

 こうした動きについて、東証の西室社長は「(この動きを)初めて聞いたが、日本ではそれほど頻繁ではない。そのため、どういう考え方でどういうふうにやるのかを聞いた上で、私どもも場合によってはお手伝いする」と話した。そして、「米国の場合はクラスアクション(民事訴訟の一種で集団訴訟手続きのこと)という制度があるが、日本にはないので大変に手間のかかる訴訟ケースになるだろう」と見通した。

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