RSA Conferenceは、もともと暗号マニアなど一部の関係者だけが集まるこぢんまりとしたイベントだった。しかし、今週始まる今年のカンファレンスには、セキュリティ業界の関係者が一堂に会することになっている。
今年15回目を迎える同カンファレンスは、暗号化技術の分野にルーツを持つRSA Securityが主催している点こそ変わらないが、ただし現在ではセキュリティ企業各社が製品を披露したり、IT専門家が集まるための場所になっている。
GartnerのアナリストRay Wagnerは、「非常に大きな成長を遂げている。4〜5年前のRSA Conferenceは、技術者だけの集まりという色合いが非常に濃いものだった」と語っている。
同カンファレンスの変遷は、大小さまざまな企業のセキュリティに対する懸念の高まりを反映している。セキュリティ関連の作業は、かつてはITマネジャーが片手間に行っていたものだった。ところが、今ではセキュリティの侵害が原因で、組織が法的責任を問われる可能性もある。これも、企業の経営陣がセキュリティを話題にするようになった理由の1つだ。
こうした懸念の高まりの背景には、ゾンビPCの増殖、データセキュリティの危険に対する認知度の高まり、そしてデータ保護法への準拠の必要性などの要因がある。
現在では、多くの企業がセキュリティを重要な課題として掲げているため、多数の新しい企業が誕生し、製品を投入するようになっている。今回のカンファレンスでは、275社以上の出展者が製品を展示する。同イベントでは、セキュリティソフトウェア、電子メール用のセキュリティアプライアンス、ウイルス対策ソフトウェア、暗号技術など、ありとあらゆる製品が発表される。
IDCのアナリストCharles Kolodgyは、「セキュリティ市場がこれほど活気づくのは久しぶりのことだ。誰にとってもなにか有益なものがあるように思える」と述べている。
新規参入ベンダーの多くは、大手ベンダーに買収されることで大金を手にすることを狙っている。アナリストらによると、セキュリティ関連の新興企業のなかには、製品でなく機能を売りにし、買収されるためだけに存在しているところもあるという。
また、市場に続々と新しい企業が参入する一方で、買収も頻繁に行われている。特にSymantec(本社:カリフォルニア州クパチーノ)は、規模の小さいセキュリティ企業を多数買収している。同社の幹部は2005年秋に、Veritas Softwareなどの大きな買収を18カ月ごとに行いつつ、年間6〜8社を買収する計画であると語っていた。
Microsoft(本社:ワシントン州レッドモンド)も、ウイルス対策/スパイウェア対策製品の投入を進めるなか、ここ数年はセキュリティ分野での買収を熱心に進めてきている。同社は今年、これらの買収で手に入れた製品を市場に投入し、既存のベンダー各社に襲いかかろうとしている。
同社会長のBill Gatesは、米国時間14日に始まる同カンファレンスで、幕開けとなる基調講演を行う。Gatesが同カンファレンスで基調講演を行うのは今年が3度目となる。また、ほかにもSun Microsystems最高経営責任者(CEO)のScott McNealyや、Cisco Systems CEOのJohn Chambers、Symantec CEOのJohn Thompsonなどの著名な経営者も基調講演を行うことになっている。
Gatesは「未来の社会におけるセキュリティ("Security in Tomorrow's World")」と題した講演のなかで、セキュリティ関連の幅広い話題を採り上げると見られている。同氏の講演は、これまでほど製品中心の話にはならないが、それでも同氏はWindows Vistaに搭載されるセキュリティ機能を売り込み、Windows Defender(同社のスパイウェア対策製品で、2番目のベータ版がまもなく公開される)の説明をすると見られている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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