E-500の特徴として、その多彩な撮影モードが挙げられる。プログラム、絞り優先オート、シャッター速度優先オート、マニュアル露出の基本的な撮影モードに加え、カメラ任せのシーンモードが実に15種類も用意されている。これらのうちいくつかのモードで実際に撮影してみたので、作例を参考にしていただきたい。ただしこれらシーンモードではあらかじめ想定された露出や設定を変更することができない。これらに撮影者が補正をかけるにはクリエイティブモードを選ぶ必要がある。そうすることで基本的な設定からの露出補正や設定変更が可能となる。ただし選べるシーンは6パターン(ポートレート、風景、マクロ、スポーツ、夜景&人物、フルオート)に限られる。
E-500に搭載された新機能のなかでも、いままでにない新しい機能として面白いのが「マニュアルフォーカスブラケッティング機能」である。この機能はマニュアルでピント合わせをする際に、撮影者が合わせたピント位置から任意の段階で、前後にピント位置をずらして撮影してくれるというものだ。
デジタルに限らずAF一眼カメラの弱点として、ファインダーでのマニュアルフォーカスの難しさが挙げられる。これはAF化に伴うファインダー倍率の低下やフォーカシングスクリーンを明るくしてきたことの弊害だと言われている。特にエントリー機のファインダーはその傾向が顕著であるためマニュアルでのピント合わせは難しくなっている。そこでE-500では露出のブラケッティングと同じ発想で、フォーカスブラケッティング機能を搭載することで解決しようと考えたのであろう。
「E-500」というカメラには手ブレ防止機能もなければ高速連写もできない。AFも正直言ってスポーツ撮影に向くほど早くはない。だが正確で応用力の高い露出制御や多彩なシーンモード。CCDのホコリを気遣うことなく撮影できるダストリダクション。そしてその軽量小型なボディの能力を最大限に引き出す、デジタル専用設計の高画質レンズ群。これらは一見地味ではあるが、カメラとしての基本性能とその信頼性を上げてくれる。その潜在能力はエントリー機の枠だけに収まる物ではないと確信すると同時に「E-1」後継機をも視野に入れた「フォーサーズ規格」および「Eシステム」の発展に期待するところである。
isopyの物欲度 ☆☆☆☆
1967年福岡県生まれ、千葉県君津市育ち。小学生のときに自分専用のカメラを手にしてから写真の世界に魅せられる。東京写真専門学校(現、東京ビジュアルアーツ)卒業後、広告写真プロダクションにて撮影の基礎を学ぶ。現在はフリーカメラマンとして人物、商品、雑誌、舞台撮影など活動範囲は多岐に渡る。デジカメ専門誌においては撮影と記事を担当。
ZDNetにおいてもデジカメ新機種のレビューを担当する。さまざまな経験から導かれた撮影心情は、すべての被写体に愛情をもって接すること。どうやら、子どもと動物には好かれるらしい。
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