一部の喫煙者は遺伝的にニコチン中毒にかかりやすい体質の持主だったという研究結果に基づき、研究者たちは今、喫煙者の遺伝子情報をもとにした禁煙治療法を開発している。
このような研究の最前線に立っているのがSRI Internationalやカリフォルニア大学サンフランシスコ校の科学者たちだ。SRI Internationalとカリフォルニア大学は米国時間1月25日、ニコチン依存症について遺伝子という側面から研究し、新しい治療法や治療薬を開発するという5カ年計画を発表した。米国立衛生研究所は、同研究プログラムに1000万ドルの補助金を提供する。
「ニコチンパッチ、ガム、スプレー式点鼻薬、吸入器など、万人を対象にした禁煙法はあまり成果を出していない」と、SRIのCenter for Health Sciencesでディレクターを務めるGary Swanは述べた。
「ある人物が禁煙に成功するか否かは、脳が薬物治療にどう反応するか、あるいは、その人の遺伝子がどうなっているかによって異なるかもしれない」と同氏は言う。
SRIは同日、喫煙が原因で癌にかかる確率と、さまざまな人種のニコチン酵素遺伝子との関係性について研究するための分子遺伝学研究プログラムを立ち上げたことも発表した。
これらの研究は、遺伝子構造や神経経路がもつ特徴に基づいて、人種や個人ごとに異なる医薬品を提供する、オーダーメイド医療の実現に向けた取り組みの一環として実施されている。一部の科学者やアナリストらは、この動きが医薬品の将来を方向付けると考えている。
研究者らがこうしたテーマに熱心に取組むのは、タバコが健康に害を及ぼす社会問題になっているためである。
レストランをはじめとする公共の場所を禁煙にするなど、法制面でも禁煙対策を行ってきたにも関わらず、米国には現在、約4700万人の喫煙者がいる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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