こうしたケースはいずれも、誰かに不快感を与えることになる。それだけで、こうした行為が犯罪になってしまうのである。もちろん、司法省がこうしたすべてのケースを起訴するとは思わないが、検察の分別を信用するなど到底できるはずもない。
サンフランシスコ在住でAnnoy.comというサイトを運営しているClinton Feinによると、不快で下品な電子カードの送信機能を提供しているサイトは違法になるかもしれないという。
「何が不快であるかを誰が決めるのか。これは究極の問題だ。誰かに迷惑なメッセージを郵便で送るときも、自分の身元を明かす必要があるというのだろうか」(Fein)
Feinはかつて、相手に不快感を与える目的で下品なコンテンツを送信することを違法とした連邦通信品位法の一部を無効とする訴えを起こしたことがある。これに対して、同法が適用されるのは「わいせつなコンテンツ」のみなので、Annoy.comは心配に及ばないという裁定を、裁判所は下している。
「私は自分のサイトを閉じるつもりは毛頭ない。憲法修正第1項の観点から戦うつもりだ」とFeinは語った。
彼の言うとおりだ。お偉い議員たちはこの簡単な事実を把握していないようだが、誰かに不快感を与えることを書く権利は、憲法修正第1項で保護されているのだ。
しかも、そうした行為を匿名で行う権利も保護されている。1995年、匿名で政治的パンフレットを配布したオハイオ州の女性に関する裁判があった。そのとき、最高裁のClarence Thomas判事が憲法修正第1項の原則を守ったのは立派だった。
Bush大統領が小さな政府の原理を本当に信じているなら(彼の略歴にはそう書いてある)、自分が署名した法案が、自分が遵守すると誓った憲法に違反していることを理解しているのだろう。
そうであれば、10年前に大規模な通信関連法への署名を強要されそうになったClinton前大統領と同じ態度を、Bush大統領もとれるはずだ。Clintonは、同法の一部にインターネット上で中絶関連のコンテンツを掲載することを憲法違反とする条項があることを知り、司法省に同法の施行を中止するよう命令したのだ。
Bushには、彼が個人の自由と称するものに対する敬意を示す機会がまだ残されている。大統領が臨機応変の処置をとれるかどうか、見守ることにしよう。
著者紹介
Declan McCullagh
CNET News.comのワシントンDC駐在記者。以前は数年間にわたって、Wired Newsでワシントン支局の責任者を務めていた。またThe Netly News.やTimes誌、HotWiredでも記者として働いた経験もある。
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