米国時間1月21日、米国ユタ州パークシティで開催されたインディペンデント映画の祭典Sundance Film Festivalでは、大型スクリーンで映画を楽しもうと数千人の常連客が列をなした。また、その一方で、数百人が一堂に会し、小型スクリーンに関する討論会を行った。
ビデオiPodやビデオ再生機能付き携帯電話といった新しいモバイル技術の登場により、すでに小型画面用コンテンツに対する需要が生まれている。しかし、果たしてそのような機器が映画配給用の販路として定着し得るのか、また、本当に消費者がそのようなコンテンツを小型スクリーンで見るのか、の2点について疑問を抱く人は多い。
この2つの疑問に対する答えは「イエス」だ。少なくとも、新興のモバイルコンテンツ業界の企業幹部らはそう考えている。彼らは、モバイルコンテンツはテレビや映画に取って代わるものではないという見解で一致しているようだ。モバイルコンテンツはテレビや映画の代わりというよりも、電車に乗っている間や自動車登記所(Department of Motor Vehicles:DMV)の列に並んでいる間に利用するものになるだろうと、彼らは考えている。
「将来、人々が携帯電話でビデオを見るようになるのは間違いない」と語るのは、パネリストの1人であるJohn Burrisだ。Burrisは、Sprintでモバイルコンテンツサービス業務に従事している。
Wall Street Journalのパーソナル技術専門のコラムニストWalt Mossbergが司会を務めた「Cinema on the Move」というタイトルの今回の公開討論会では、次代の映画製作におけるモバイル技術の役割の他にも、モバイルコンテンツとは具体的にどのようなものになるのか、また、価格の決定や配信はどのように行われるのか、についても突っ込んだ議論が行われた。
Mossbergによると、少なくとも1年半前から携帯機器でのビデオ視聴が可能だったが、以前は「全く使い物にならなかった」という。その後、ネットワークが格段に高速化し、2005年第4四半期には、Apple ComputerがビデオiPodを発表したり、コンテンツに対する需要が高まったりするなど、モバイルコンテンツ分野の動きが本格的になり出した。
Mossbergは「これまでもドットコムバブル時代の熱狂をほうふつとさせる興味深い現象があったが、今回のモバイルコンテンツブームもその1つだ」と述べ、さらに「この分野において、Appleの存在感は非常に大きい」と付け加えた。
今回の討論会のパネリストで、ショートフィルムの配給業者Shorts InternationalのCEOであるCarter Pilcherは、携帯電話でのテレビやビデオの視聴に関して、米国は欧州やその他の国際社会に大きく遅れをとってきたと述べた。同氏は、モバイル機器向けショートフィルムの将来は明るいと見ているが、映画製作者が金銭的報酬を当てにできる、あるいは、少なくとも製作コスト回収の目処が立つことが条件だという。
別のパネリストで、モバイルメディアサービス企業Moblissの創設者であるBrian Levinによると、人々に受け入れられるモバイルコンテンツの条件は、「気軽に見られるメディア」であることだという。Levinは、30分間のテレビ番組よりも、Moblissが提供する、BAYWATCHのBest Beach Momentsのような、40秒間のモンタージュの方が成功する確率が高いと見ている。
一方、SprintのBurrisは、モバイル機器向けの短編のテレビ番組を「Snack TV」と呼んでいる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」