「冗談のつもりだった」--Wikipediaへの虚偽書き込み事件、張本人が名乗り出る

坂和敏(編集部)2005年12月13日 18時59分
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 New York Times紙の報道によると、Wikipediaのあり方に波紋を投じるきっかけとなった元ジャーナリストに関する虚偽の書き込み問題で、この書き込みを行った人物の身元が明らかになったという。

 テネシー州ナッシュビル在住のBrian Chase(38歳)は、地元紙「Tennessean」の元編集者だったJohn SeigenthalerについてのWikipediaの項目に、Kennedy兄弟の暗殺に関与したとの書き込みをしたのは自分であることを、米国時間9日にSeigenthaler本人に告白し謝罪したという。

 Chaseはこのいたずらの動機について、自分が業務担当マネージャとして働く小さな運送会社の同僚を驚かすつもりでやったことだと説明。Seigenthaler家はナッシュビルでは高名な由緒ある家系で、この元同僚も同家のことを知っていたという。

 Chaseは先週、このいたずらが思わぬ反響を巻き起こしてしまったことを知ると、自分のしでかしてしまったことを後悔すると同時に、その結果を考えて空恐ろしく感じていたという。

 一方、テキサス州サンアントニオ在住のDaniel Brandtは、問題となった書き込みの張本人を割り出すべく、独自に調査を実施していた。同氏は9月に自身に関する誤った記述がWikipediaに掲載されていることに気付いて以来、アンチWikipediaサイトを立ち上げていた。

  Brandtは、Seigenthalerの項目への書き込みに使われたコンピュータが、ナッシュビルにある運送会社のものであることを突き止めると、同社に電話をかけて従業員にこの問題について尋ねたが、しかしこのときには確たる情報は得られなかったという。

 その後、Brandtはこの運送会社にあてて、サービスに関する情報をリクエストする電子メールを送ったが、これに対する返信メールは、Wikipediaへの問題の書き込みに使われたのと同じコンピュータから出されたものであることがIPアドレスから判明したという。

 8日にNew York Timesの記者からこの運送会社へ電話があり、同社の従業員が神経質になったのを見たChaseは、そのことを打ち明ける手紙をしたためた上で、翌9日に自らSeigenthalerの元へ出向いて、この手紙を渡したと、同紙は述べている。

 この後、Chaseは勤め先に迷惑をかけたくないと、運送会社を退社。一方、Seigenthalerは自分にはChaseを訴えるつもりはないと述べたという。

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