成長の痛みを味わうWikipedia--2つの「事件」で問われる在り方 - (page 2)

 一方、Curryとポッドキャストの項目をめぐる騒動からは、自分自身あるいは自分が関与したプロジェクトに関する事柄を、自らWikipediaに書き込んだり編集したりすることが許されるのか、という新たな疑問を投げかけている。

 ブログおよびポッドキャストの先駆け的存在であるDave Winerは、「Wikipediaは、権威があり信頼できると見なされることがあまりに多い。だが、そんなことはいますぐに終わらせねばならない。Wikipediaに書かれた事実は、どれも利害の対立する何者かが仕掛けたゲリラ攻撃だと見なす必要がある」とし、さらに「われわれはインターネット学者の時代における権威の意味に決着をつける必要がある」と自らのブログに書き込んでいる。

 Curryは、Wikipediaにあるポッドキャストの項目から、Technoratiの主任エンジニアであるKevin Marksが、2003年にハーバード大学で開かれた「BloggerCon」で発表した成果に言及する部分を削除した。だが、Curryにとって、自らの行動には利害の衝突は何の関係もなく、同氏はただ内容が不正確に思えたので、それを修正しただけだという。

 しかし、その後この内容が正しかったことを知ったCurryは、CNET News.comに宛てた電子メールのなかで、自分が過ちをおかしたことを理解していると説明した。

 しかし「だからといって、事実についての意見を持ち、自分の見方を反映するようにWikipedia(の項目)に変更を加えることが、私には許されないということにはならない」とCurryは述べた。

 Walesはこの件について、ある事柄に個人的な利害を持つ人間がそれに関する項目の作成や編集を許されるべきかどうかという問題に対し、どういうアプローチをとるべきか自信がないと述べている。

 「これはWikipediaの哲学に関する興味深い問題だ」とWalesは言う。「特にポッドキャスティングのような事柄の場合、事情をよく知っているのはそれに関わった人々だという点が一方にあり、またもう一方には、自ら対象となる事柄に関与した人々にとって、その事柄についての記述を編集する場合に中立的になることが難しい、という点がある」(Wales)

 同氏はさらに、これまでWikipediaではユーザーに対して自分が関与した事柄についての書き込みや編集は行わないように勧めてきており、またそうする場合も大人らしい真面目な振る舞いをするように求めてきたと付け加えた。

 「だが、われわれはそれに関するはっきりとしたルールを定めていない。そうしたルールをつくっても実際に適用するのが難しく、またルールを明文化することがアイデアではないかもしれないからだ」(Wales)

 しかし、ブロガーのコミュニティでは、CurryがMarksの発表のほか、RSSフィードを使ってMP3ファイルを配信したStephen Downesの功績に言及した部分を削除したことに対して批判が強まっている。

 だが、Curryが意図的に他人の功績を取り上げようとしているとの非難に対し、同氏は激しく反論した。

 「私がポッドキャスティングの歴史のなかで果たした自分の役割を実際以上に大きく見せようとしているというのは、あまりにも了見の狭い主張だ。またそれは、私がWikipediaに書き込んだいくつかの事実を踏まえたものでもない」(Curry)

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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