続いて京セラ製のCDMA 1X端末に触ってみると、W32Tとは全く違ったモノとしての印象を受ける。とにかく優しいのだ。ボディラインも、薄さを強調するW32Tに対して、厚さ25mm・重さ131gでヒンジから開口部の方向へゆっくりと弧を描く曲線が、柔らかさを感じさせる。
開いたり閉じたり、ボタンを押してみたり。端末を物理的に動かすあらゆる動作で、音が出ないのだ。今世に受け入れられている端末の中には、開いたときに出る「カチッ」という音にこだわったり、ボタンのクリック感を伝えるために音が出るようにチューニングしたりしていて、使い心地の良さに寄与している。しかしこのA5515Kは、とにかく操作するときに静か。存在感が柔らかく、物静かな存在。これがA5515Kである。
外装というか、モノとしての存在に感心させられてしまったが、テクノロジも侮れない。323万画素オートフォーカス対応のカメラは、最大で2048×1536ピクセルの画像を撮影することができる。メインディスプレイは2.2インチでシャープ開発のモバイルASV液晶搭載。黒がしまっていて見やすい画面を広視野角で実現している。
写真を撮ったりメールを打ったりする際などで、自分の好きな角度に端末を構えるシチュエーションが多いケータイにとっては、どの角度から見ても色やコントラストなどが正確に確認できるという点において、この広視野角という要素は重要であると思う。
コミュニケーション機能も充実している。後に紹介する新サービスHello Messengerの他に、「エモーションメール」に対応。これは届いたメールの件名や本文の単語を解析して、そのメールの意味合いを8種類のアイコン(喜び・好き・困った・重要・怒り・悲しい・普通・癒し)で表現してくれる機能だ。
受信BOXやメール本文にこのアイコンが添えられるほか、なんと言っても便利なのはメール着信時だ。メールが着信した際、サブ液晶に表示されるメール着信の通知と共にこのアイコンも表示される。サブ液晶から届いたメールの相手とアイコンを見るだけで、本文を読まなくても何となくメールの意味合いを知ることができる。これは病みつきになる。
カメラについて、この端末でもケータイの壁紙サイズである320×240でチェックしている。夜景は夜景モード、その他はオートで撮影した。W32Tに対して暗いところではノイズが目立つほか、色の表現も少し冷たい印象になっている。しかし白の表現はA5515Kの方が上手。夜景モードの撮影では、やはりノイズの処理の問題なのか、W32Tのようなくっきりとした表現にはならなかった。
最後に1点だけ。せっかくあらゆる操作の音が静かで、電子的なデバイスとしての要素を全く感じさせない、優しさあふれる端末に仕上がっている。だからこそかもしれないが、カメラ撮影でのオートフォーカスの「じじじ」という音がとても気になってしまうのだ。だからといってあえてパンフォーカスにすべきだとは思わないが、この端末が持つ雰囲気の中での「異音」という印象を覚えてしまった。それだけ、他の使い勝手が優しさあふれるものだった、という裏返しでもある。
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