「宇宙最大の謎は女性」--S・ホーキング教授が講演

Stefanie Olsen(CNET News.com)2005年11月14日 13時43分

 カリフォルニア州オークランド発--科学の発達により、宇宙の起源に関する疑問への答えがまもなく提示されるだろう。高名な理論物理学者のStephen Hawkingが、米国時間10日夜に当地で行われた講演のなかでそう語った。

 「長い間ゆっくりとしたスピードで進んできた宇宙の拡大が、再びペースをあげていることに対して、われわれには優れた観察結果がない」(Hawking)。同氏はこの日、オークランドのParamount Theaterに詰めかけた聴衆を前に、「宇宙の起源(Origin of the Universe)」と題した講演を行った。

 「宇宙の未来--つまり、膨張は自然の法則なのだろうか、それともいずれは再び収縮に向かうのだろうか、といった事柄--については、はっきりとしたことはわからない」(Hawking)

 同氏は聴衆に対して、宇宙論が活発に研究されているおかげで、これらの問題に対する答えがまもなく出されることになるだろう、と述べた。現在科学者らは、かつてないほど精度の高い計測機器と強力な天体望遠鏡の力を借りて、これまで知られていなかった宇宙の側面を観察できるようになっている。

 「『われわれはなぜここにいるのか』そして『われわれはどこから来たのか』といった質問に関して、われわれはその答えに近づきつつある」(Hawking)

 ロックスターなみの人気を誇る科学者はめずらしいが、Hawkingはそうした希有な科学者の1人だ。同氏の講演には約3000人の熱心な聴衆が詰めかけたが、このなかにはスーツ姿のビジネスマンからドレッドヘアの学生、そしてHawkingと同じ「ルー・ゲーリック病」を患っていることが明らかにわかる車椅子に乗った子供まで、さまざまな人間が混じっていた。

 今年63歳になる同氏は、見るからに身体的な衰えが顕著で、コンピュータ仕掛けの音声合成装置を使って話をした。同氏はこの装置をまばたきに反応する赤外線式のスイッチで操作していたが、この新しいスイッチは、同氏の力が弱くなり、それまでの手動式スイッチが使えなくなってしまったことを受け、最近になって導入されたものだ。ルー・ゲーリック病(または「筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis)」)を患う同氏の筋力は衰弱の一途をたどっている。

 英国のケンブリッジ大学で数学を教えるHawkingには、かつてSir Isaac Newtonも務めた「Lucasian professor of mathematics」のポストに就いている。同氏は、量子理論、ブラックホール、そして宇宙の起源に関するビッグバン理論の理解に対する貢献でその名を知られている。同氏は、現在『A Briefer History of Time』という新しい著書のプロモーション活動中だが、この新著はベストセラーとなった『A Brief History of Time』(邦題『ホーキング、宇宙を語る―ビッグバンからブラックホールまで』)の続編にあたる。

 また、優れたユーモアのセンスの持ち主としても知られるHawkingは、この日の講演のなかでも再々にわたってそのセンスを発揮。同氏は、自己紹介の際にあるエピソードを披露した。先ごろ行われたテレビ番組「Larry King Live」でのインタビューのなかで、「宇宙について理解していないことが何かあるか」と尋ねられた同氏は「女性」と応えたと語った。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]