道を開拓する
Gearyはあるブログで、「企業コンピューティングの分野には、Ruby on Railsほどのマインドシェア性を持つ製品は存在しない」と述べ、「Ruby on Railsが近い将来に転機を迎え、広く採用されるようになることをわたしは確信している」と記した。
Ruby on Railsは、PHPなどのスクリプト言語の俊敏性と使用の簡便性を、「クリーン」かつ系統だったJavaアプローチと両立させることを視野に入れていると、Hanssonは説明する。そうすることで、コードを迅速に記述でき、保守も容易になっていくのだという。
Hanssonは「こうしたJavaとPHPの対照的な性質を融合し、機敏性と単純性を追求しようと考えている」と話した。PHPアプリケーションは保守が難しく、一方「Java Enterprise Edition」ソフトウェアは非常に複雑で習得におそろしい努力を要すると、Hanssonは指摘している。
Ruby on Railsについて書かれた書籍は現時点では1冊しかないが、7〜8冊の新刊の執筆が進んでいるという。また2005年は、初めての開発者カンファレンスが開催され、60名が参加した。今年のカンファレンスには、商用開発に携わる開発者を中心に200名が集まった。Hanssonは、次回は800名近くの集客が見込めるとしている。
JavaやMicrosoft C#をスクリプト言語で代用する傾向が強くなっているが、Ruby on Railsへの関心もそうした時流に乗って増大している。PythonやPHP、Rubyといったスクリプト言語は、アナリストや開発者によれば、習得が比較的簡単だということだ。
リサーチ企業Burton Groupでは、企業顧客に対し、新たに立ち上げるウェブ開発プロジェクトでRuby on Railsを採用するよう勧めている。同社のアナリストRichard Monson-Haefelは、同ツールセットが「Web 2.0スタイルの」アプリケーションの開発運用に特に力を発揮すると話した。
しかしRuby on Railsは、とりわけデータベースへのアクセスにおいて特殊なアプローチを取っており、限界もあるとMonson-Haefelは言う。
「同ツールが本当に実用的であるのは、データベーススキーマを完全にコントロールできる場合か、『まったく新しい』アプリケーションに取り組んでいる場合だ」(Monson-Haefel)
もっともHanssonは、ストアドプロシージャなどのプログラムをはじめとする、データベース機能をサポートしなかった点にこそRubyの価値があり、主流に逆うことで革新性を実現できると考えている。
「あえて革新的なアプローチを採用することにした。データベースを賢くすると言われるストアドプロシージャなどの機能は害悪だ。この意見に違和感を覚える人もいるかもしれないが、それは、これらの機能に慣れてしまっているからだ」(Hansson)
Hanssonは将来、同ツールのシンプルさをさらに向上させ、コードの記述支援だけでなく、開発サイクル管理などの機能も追加する予定だ。また同氏は現在、ウェブアプリケーションをクラスタ上に簡単に展開するためのツールを考えているという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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