MotorolaとIntelは米国時間27日、無線ブロードバンド規格「WiMAX」に関して、モバイル端末用技術の開発と普及を加速させるために提携したと発表した。
両社は以前から、Institute of Electrical and Electronics Engineers(IEEE)802.16e標準の策定で協力してきた。これまでWiMAXの開発をリードしてきた両社はこの提携により、実験結果や設計情報の共有などで協力を進め、各々が新たに開発する製品間での互換性を確保することを計画している。
Motorolaによると、この合意はIntel製チップのみの使用を義務づけるものではなく、Motorolaでは引き続き他のチップメーカーとも協力を進めていく計画だという。
しかし、市場をリードする両社がこの新技術の促進に関して手を組んだことは、市場を形成する上で重要な役割を果たす。802.11e標準は11月末までに策定作業が完了すると見られている。ただし、各社が開発した互換製品が登場するまでには、作業完了後さらに数カ月はかかりそうだ。
MotorolaとIntelがそれぞれ携帯通信大手のSprint Nextelと提携している点を考えると、両社の提携は理にかなったものといえる。Sprint Nextelでは現在、自社の研究所でWiMAX技術の実験を進めている。
Motorolaは同日、WiMAX 802.16dの仕様に基づいた製品の開発は行わないことを明らかにした。IEEEで2004年に承認された802.16dは、有線での「ポイント・トゥ・ポイント」の接続しかサポートしていない。このため、Motorolaでは802.16eをサポートする製品だけを重点的に開発していくという。802.16e対応の機器は、802.16dとの互換性はない。
WiMAXは有望な次世代無線技術と見なされているが、これは同技術が高速なデータ転送速度を実現するほか、電波の到達距離が長いこともその理由になっている。同技術を利用すれば、1Mbps〜5Mbpsでのデータ転送が可能になり、また電波の到達距離は20マイル(約30km)を上回る。これは最大でも50フィート(約15m)離れたところまでしか電波が届かないWi-Fi(802.11)に比べ、到達距離がはるかに長い。
またWiMAXは、必要とするネットワーク基地局等の要素が少ないことから、同等の携帯通信技術ほどコストがかからないと考えられている。
Motorolaは、自社のモバイル戦略のなかでWiMAXが重要な要素になると考えており、2007年前半にもWiMAX対応電話の発売を計画している。同社はまた、WiMAXと携帯電話通信網の両方を利用でき、両者間でのローミングが可能なデュアルモードの携帯電話開発も予定している。なお、同社ではすでにWi-Fiにも対応するデュアルモードの携帯電話を販売している。
一方、Intelは2007年もしくは2008年にもWiMAX用チップをノートPCに組み込む計画を発表している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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