「7億人いるプラットフォームにコンテンツを出しませんか、と言えば、どのコンテンツプロバイダーも目の色を変える」――ソフトバンク代表取締役社長の孫正義氏は5月8日、同社が英Vodafone、中国China Mobileと設立に合意したJoint Innovation Labsの狙いについて、このように語った。
7億人、というのは、3社の契約数を合計した仮の数字だ。China Mobileの契約数は2008年3月末時点で約3億9000万件。Vodafoneの契約者数は2007年12月末で1億3489万件だが、米Verizon Wirelessの株式を45%所有するなどしており、出資会社の契約数を出資比率で換算すると、Vodafoneとして約2億5000万件の契約者数になるという。これにソフトバンクモバイルの約1900万件を合わせることで、7億近い数になる、という計算だ。「Vodafoneは売上高で世界最大、China Telecomは契約数で世界最大の通信事業者だ」(孫氏)
孫氏によれば、Joint Innovation Labsは、携帯電話向けのアプリケーションやコンテンツ、課金システム等の仕様を策定する機関になるという。ここで定められた仕様に基づいた端末やアプリケーション、コンテンツの開発を、世界中の端末メーカーやソフトウェア開発ベンダー、コンテンツプロバイダーなどに要請する。その際の殺し文句が、「Joint Innovation Labsの仕様に従って開発すれば世界中の7億人を相手にできる」というわけだ。
3社は年内に仕様を固める計画。「2009年早々には詳しいことを発表できるだろう」(孫氏)
ソフトバンクは同日、2008年3月期の連結決算を発表している。携帯電話事業が業績をけん引し、売上高は前期比9.1%増の2兆7761億円、営業利益は同19.6%増の3242億円、純利益は同277.0%増の1086億円となった。営業利益が3000億円を突破したのは創業以来初めてという。なお、2009年3月期に業績見通しについては、予想が困難として明らかにしなかった。
また、期末配当として1株あたり2円50銭を支払うこと、無議決権優先株式を発行できるように定款を一部変更することを明らかにした。いずれも6月に開催される定時株主総会に付議する。
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