デスクトップ分野においてオープンソースソフトウェアLinuxの人気が高まっているにも関わらず、Microsoftの幹部は、同社が近いうちに「Office」生産性スイートをLinuxに対応させることはないと、発言した。
Microsoftのプラットフォーム戦略責任者Nick McGrathは米国時間5日、ロンドンで開催された「LinuxWorld」カンファレンスで、OfficeをいかなるLinuxディストリビューションへも移植する予定はないと述べた。
「Microsoftは、これまで何十億ドルという投資を行ってきたWindowsに100%の力を注いでいる。Windowsに専念すると断言した時点でこれは明らかだとは思うが、当社はMac版Officeは開発しているものの、OfficeをLinux対応とすることは現在は一切考えていない」(McGrath)
McGrathは、「技術革新はどこへ行く--フリーソフトウェアの発展はプロプライエタリ化につながるのか、それとも別の道を見つけるのか」と題された討論会に参加し、前述のコメントを口にした。
討論会の聴衆はその大半がオープンソースの支持者だったようで、McGrathはそうした参加者の1人から質問を受けて回答した。この質問は、MicrosoftはOfficeをApple ComputerのMacへ移植して、Macデスクトップ市場から利益を得ているが、Linuxデスクトップに対して同じ対応を取らないのはなぜかというものだった。
Linuxの市場シェアは、Macが獲得しているシェアを急速に追い上げている。デスクトップおよびノートPC向けのオペレーティングシステム市場における各社のシェアについては、アナリストの中でも見方が分かれているが、Microsoftの占有率が90%を超えていることに異論を唱える者はいない。Linuxは同市場で3%強のマーケットシェアを有しているとされており、一方のAppleは、「iPod」音楽プレイヤーの躍進もあり、2005年のシェアは5%に達すると予測されている。
オープンソース開発コミュニティの重鎮Eric Raymondは先頃、ZDNet UKの取材に対して、「StarOffice」や「OpenOffice.org」といった代わりの製品が利用できるので、Linux版Officeのリリースはそれほど望まれていないと語った。
「重要なのは、(Microsoftが同社の)すべてのファイルフォーマットおよび通信プロトコルを文書化して一般に公開し、互換性のあるオープンソースソフトウェアの開発者らを提訴したり攻撃したりしないと確約することだ」(Raymond)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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