米New York Timesが報じたところによると、Microsoftは米国時間26日に、ウェブ広告販売用の独自のシステムを公開するという。MSNで使用されるこのシステムは、性別や年齢、地域などのユーザー属性に合わせた広告が打てる点でGoogleやYahooなどの競合各社のシステムよりも優れているという。
この動きは、Microsoftの進めるGoogle対策の一部だ。Googleは現在、自社の強力な広告販売ネットワークを利用しながら、さまざまなソフトウェア製品やネットベースのサービスを無料で提供している。それに対し、Microsoftは先週大規模な組織再編を発表し、MSNをWindows開発部隊に組み入れることを明らかにしていたが、これは同社がネット経由で配信するソフトウェアが自社の未来にとって中心となることを示唆するものといえる。
しかし、こうした広告費でまかなわれるサービスを提供するにあたり、Microsoftはターゲットを絞った広告を販売するための独自のシステムをコントロールする必要がある。同社はこれまでYahoo傘下のYahoo! Search Marketing(旧Overture Services)などが販売する広告をMSNの検索サービスに利用してきていた。
MicrosoftバイスプレジデントのYusuf Mehdiは、「同社のサービスが他社よりも大きな訴求力を持ち、いずれはMicrosoftに他社よりも多くの広告収入をもたらすことになるだろう」と述べたという。
Microsoftのこの動きに対し、検索エンジンマーケティングに特化した広告代理店各社は、きわめて前向きな反応を示している。
「MSNには大量のトラフィックがあることから、そこに市場が存在するのは間違いない」とSearch Engine Watch編集者のDanny SullivanはMSNの検索ビジネスについて述べている。「検索マーケティング会社は、いくらトラフィックがあっても足りないようだ。MSNのサービスを試さないという人間を私は1人も知らない」(Sullivan)
Microsoftは、Googleが同社の技術とブランドを確立するまで、ウェブ検索をほとんど無視してきた。MSNが旧Inktomiの技術に代えて独自の技術を使い出したのは、今年の春のことだった。
Microsoftは新しい広告システムが多くの機能の点でGoogleのそれに比肩するものになることを願っている(Googleは概してYahooよりも進んでいると見なされている)。Microsoftはさらに、いくつかの革新的技術を追加しているが、なかでもユーザー属性や日時に応じて異なる広告を表示できる能力は最も重要なものだ。
このシステムでは、たとえば男性が「バラ」というキーワードで検索した場合、花屋のウェブサイトの広告が表示されるのに対し、女性が同じ語で検索すると、ガーデニング用品を扱うウェブサイトの広告が表示されるという。
同社はこのシステムをまずシンガポールとフランスで導入し、その後10月から米国市場でも徐々に導入を進め、Yahooが供給する広告と自社の販売する広告を併用していくと、MSNシニアディレクターのJoseph Doranは説明した。同社は来週までにYahooからの広告を完全になくしたい考えだ。
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