ダートマス大学(Dartmouth College)の研究チームが、M&Mチョコレート1粒の上を200台で列を成して行進できるほどの超小型ロボットを発明した。
同大学のBruce Donald教授によると、このプロトタイプロボットの大きさは、幅60ミクロン、長さ250ミクロンで、この手のモバイルロボットとしては最小だという。人間の平均的な髪の太さはおよそ90ミクロン(1ミクロンは100万分の1メートル)だ。
このロボットは車輪で走るのではなく、芋虫のように自らの体を伸縮させて移動する。方向転換する場合は、シリコン製の「足」を立てて、その足を軸にして旋回する。障害や故障を避けるため、そのロボットにはヒンジ(ちょうつがい)や車輪は付いていない。あるのは移動用の2つのアクチュエータ(作動装置)だけで、1つは前進用で、もう1つは方向転換用だ。
案内や指示は、ロボットの「足」の下のグリッド電極から伝えられるため、ワイヤに接続する必要はない。
「われわれが『制御可能』と言えば、それはロボットを車のように扱えるという意味だ。ユーザーは、平面上であればどこででも操縦でき、どこでも好きな場所に移動させられる」とDonaldは語る。
また、ロボットの移動速度はかなり速い。同ロボットは、10ナノメートル(1ナノメートルは10億分の1メートル)の歩幅で毎秒数万歩進むことができる。よって、そのロボットは、1分以内に自分の体と同じ長さの距離を移動できる。
同大学が開発したその超小型ロボットは、最近発表された他の多くのロボットと同様に、人間にはあまりに困難あるいは危険な仕事を行うために開発された。いつか、このような超小型ロボットを使って、コンピュータ内の集積回路(IC)を修理したり、神経ガスやその他の危険な化学薬品がありそうな場所にロボットを入れて有無を確認してから人間が入るといったことが可能になるかもしれない。あるいは、微小電気機械システム(MEMS)の一種であるこれらのロボットを使えば、医者が損傷した組織を修復することも可能かもしれない。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス