ビル・ゲイツ、グーグルを語る - (page 2)

Mike Ricciuti and Martin LaMonica (CNET News.com)2005年09月16日 10時16分

--「サーバ・イコール・サービス」はどのような形で実現されるのですか。既存のサーバソフトウェアの機能を、サービスとして提供することなどできるのでしょうか。

 例を挙げて説明しましょう。たとえば、「Active Directory」というものがあります。さまざまな新機能が追加され、話題を集めているサーバソフトウェアです。これに対応するオンラインサービスとしては「Passport」があります。この2つを統合し、対称性を高め、共通のアーキテクチャを構築していきます。Eメールに関しては、サーバソフトウェアであるExchangeに対して、オンラインサービスのHotmailがあります。今後は電話会社も、Exchangeを基盤とするホスティングサービスを提供するようになるでしょう。ウェブサイトに関しては、すでに複数の企業が「SharePoint」のホスティングを行っています。そして「Spaces」は、SharePointのローエンド版となるオンラインサービスです。このように、「サーバ・イコール・サービス」は、サーバソフトウェアをそれに対応するオンラインサービスと統合することによって実現されます。当社のオンラインサービスの多くは、開始時点では非常に安価なものでしたが、機能性は限られていました。これに対して、サーバソフトウェアは非常に高機能です。両者を組み合わせることで、顧客に多彩な機能を提供できるだけでなく、サーバソフトウェアを購入するか、あるいは同じ機能をインターネット経由で利用するかを顧客に選択してもらうことができるのです。これは非常に重要です。現時点で、これが最もよく実現されているのはインスタントメッセンジャーです。「MSN Messenger」がオンラインサービス、「Live Communications Server」がサーバソフトウェアです。顧客はどちらを選んでも、ほぼ同等の機能を利用することができます。

--今になってなぜ、ソフトウェアのサービス化に取り組むのですか。このアイディアは以前からありました。実装はされなかったものの、Microsoftも過去に何度か、Office機能のサービス化に取り組んだはずです。なぜ今、サービスとしてのソフトウェアが実現したのでしょうか。

 現在のWindowsは、ユーザー環境で発生したクラッシュや問題を監視し、それをMicrosoftに報告するようになっています。この仕組みが導入されてから3年ほどたちますが、その間にソフトウェアの質は向上しました。ソフトウェアをネットワークに接続したことで、ユーザーがそのソフトウェアをどのように使っているのかを把握し、随時改善を加えることができるようになったからです。以前は、ユーザーにパッチを提供する仕組みはありませんでした。セキュリティ問題が、この変化を促すことになったのです。このインフラはセキュリティ以外の問題を解決する上でも有効です。サービスの概念も進化しています。私が初めてサービスとしてのソフトウェアに言及したのは、1998年の全社会議でした。顧客との関係もパッケージソフトウェアから、その他のものへと広がっています。しかし、これは私が最初に「あなたの指先に情報を(Information at your fingertips)」というビジョンを掲げたのはいつか、というようなものです。それは2000年のComdexですが、このビジョンはまだ実現していません。しかし、当時と比べれば、われわれが手にしている情報は格段に増えました。ウェブの検索技術もかなりのレベルに達し、RSSも登場しました。このように、サービスとしてのソフトウェアは確実に進化してきました。しかし、ソフトウェアをサービスとして提供するためには、その前提条件として、インターネット、安価な接続サービス、そしてXMLが必要でした。大規模なサーバファームを構築し、規模の経済を働かせることが可能となったことで、ようやく実現の見通しが立ったのです。

 今後は、この種のサービスが増えていくでしょう。先日、当社が買収したFrontBridgeも、一種のソフトウェアサービス会社です。社内でもさまざまな取り組みを行ってきました。サービスとしてのソフトウェアは、消費者のみを対象にしたものではありません。その多くは--もっといえば、その大半は企業を対象としたものです。企業は複数の方法でITを導入することができるようになります。インターネット経由でサービスの配信を受けることもそのひとつです。

--これは電話会社が長年夢見てきたことでもありますが、電話会社のなかにはMicrosoftの顧客もいます。利害が衝突する可能性はありませんか。

 当社と電話会社の関係は、かつてないほど強固なものとなっています。電話会社は当社を「ビデオ事業に参入するための基礎技術を持つ存在」と捉えています。電話会社は、自社の研究開発部門ではこのような技術は開発できなかったのではないかと考えています。彼らは当社の技術を使って、電話以外のサービスを提供しようとしているため、彼らの戦略はかつてないほど、この分野における当社の研究開発に依存するようになっています。

--先日、OracleがSiebelの買収を発表しました。この決定は、CRM(顧客関係管理)ソフトウェア市場に対するMicrosoftのアプローチを変えるものとなるのでしょうか。

 Larry(Ellison)は大規模な統合が起こると予測していました。彼はその予測が実現するところを見たかった。そこで、自らそれを実現させることにしたのです。これはすばらしい予測です。社員がコードを書かず、もっぱら取引に従事しているのだとしたら、その企業が手にするのは取引だけです。Oracleはどの会社よりも多くの取引を行うようになるでしょう。当社はどの企業よりも多くのコードを書いていくつもりです。われわれはCRM戦略に腰を据えて取り組んでおり、きわめて複雑なニーズにも対応することのできるCRMソフトウェアを開発するつもりです。

 SAPはCRM分野の巨人であり、当社のよきパートナーです。当社はCRM分野の初期のリーダーであるSiebelとも、良好な関係を築いています。SiebelがOracleの一部になった後も、この関係は維持するつもりです。CRMの神髄はワークフローです。われわれはワークフローをネットワークに組み込みつつあります。残念ながら、CRMに関する約束の一部は果たされませんでした。そう考えると、当社がCRMの相当部分をOfficeとそのプラットフォームに組み込もうとしていることは驚くに値しないと思います。CRMは一部の人々が期待したほど、独立した形では実現しなかったのです。

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