大日本印刷(DNP)は9月9日、eTRON仕様に準拠した高速処理可能な接触型ICカード「SECURETRON32-B」を開発、10月からサンプル出荷を開始すると発表した。
eTRONとは、東京大学教授の坂村健氏が率いるYRPユビキタス・ネットワーキング研究所で開発された、安全な通信を実現するための基盤技術だ。機器同士の相互認証により不正な制御を排除したり、異なるICチップ間で電子マネーや電子チケットなどの価値データを安全に移動させたりする機能を備えている。
SECURETRON32-B |
今回開発された接触型ICカードのSECURETRON32-Bは、SIMカード型の形状で、ルネサステクノロジの32ビットCPU「AE57Cチップ」を採用した。これまでは16ビットCPUを使った既存の製品に比べて約3倍の高速処理が可能で、データ容量についても約3倍の132Kバイトに増加している。また、eTRON仕様のeTPプロトコル(T=14)だけでなく、ISO7816のT=1プロトコルもサポートして、最大76800bpsまで高速化した。オプションで指紋認証と音声認証の2種類の生体認証を追加でき、現行の「eTRON/16Dual」とも互換性がある。
DNPではSECURETRON32-BをYRPユビキタス・ネットワーキング研究所に対してサンプルを供給、販売していく。現在の対応機器は同研究所が開発するユビキタスコミュニケータのみだが、将来的にはT-Engineフォーラムに参加するハードメーカーに拡販し、T-Engine、μT-Engine応用製品の携帯端末機器、情報家電などへの利用、展開を促していく。
「SECURETRON32−B」は、9月14日から16日まで開催される「第7回自動認識総合展」のテーマコーナー・自動認識セキュリティ体験ゾーンにおいて、アニモと共同で「オンカードマッチング音声認証システム」として出展される予定だ。
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