小売企業はこれまで、どの商品を仕入れるべきか、あるいはいつ値下げすべきかなどを決めるにあたって経験と勘に頼ってきたが、こうした予測が外れると大きな損害が生じる可能性があった。これらの企業にとって、価格最適化ソフトウェアは需給の問題を解決する洗練された方法を提供するものだ。これらのアプリケーションは、複雑なアルゴリズムを用いて、企業がコンシューマの需要について詳細なビジネスモデルを構築する際に役に立つ。
価格最適化ソフトウェアは高価で、たとえばProfitLogicの製品は最大で200万ドルもする。しかし、企業はこれらのソフトウェアを利用して、自社の商品や在庫状況をさらに詳しく知ることができるようになることから、特定の店舗の業績や商品の売れ行きをより良く理解できるようになる。企業は、POS端末から収集したデータを利用して、長い間推測に頼らざるを得なかった要因--たとえば顧客が最も買いたいと思っている商品や、そういった商品が顧客の心を捉える金額など--について推測の影響を相殺しようとしている。
ERP(Enterprise Resource Planning)やCRM(Customer Relationship Management)と称するアプリケーションは、ほとんどが小売企業の製造とサプライチェーンに関する取り組みに対応するものだ。それに対して、ProfitLogicなどの開発するソフトウェアは、ファッションのスタイルや季節性といった、ERPなどのシステムではフォローできない傾向を追跡することを目的としており、実際にAnn TaylorやThe Gap、英のスーパーマーケットチェーンTescoを含む、有名な小売企業で導入されている。
たとえば、小売企業は昔から、店舗を所在地や販売する商品のタイプに基づいてグループ化し、クラスターと呼ばれるまとまりに分類してきた。この場合、各店舗の業績は他の店舗との直接比較によって測られ、また企業は統計データに基づいて、どの商品を仕入れるべきか、あるいはどの商品の取り扱いをやめるべきかといった決定を下す。
これは簡単なことに思えるかも知れないが、世界最大手の小売企業各社では数万件もの店舗を管理する必要があることから、顧客が商品を探しに来る前に、動きの速いファッションの流行や購買傾向を把握しておくことは簡単なことではない。
OracleのPhillipsによると、過去に構築されたメーカー向けERPシステムは、顧客に膨大な量のデータをもたらしたが、しかしこれらのシステムが提供する大量の情報から優れた結論を導き出すには、さらに強力なツールが必要だという。同氏は「リソースプランニングを、当て推量から、定量化が可能で適切な商品構成を考え出すのに使えるものに変えるためには、これが必要だ」と述べている。
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