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スクウェア・エニックスがタイトーを友好的に買収--社名、ブランド名は変更せず

永井美智子(編集部)2005年08月22日 17時35分
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 スクウェア・エニックスは8月22日、タイトーを株式公開買い付け(TOB)により子会社化すると発表した。タイトーはこの子会社化に賛同しており、タイトーの発行済株式総数のうち約36.02%の株式を保有する筆頭株主の京セラは同日、このTOBに応じることでスクウェア・エニックスと合意している。

 公開買付期間は8月23日から9月21日までの30日間。1株あたりの買い付け金額は18万1100円だ。これは8月19日までの過去6カ月間の東京証券取引所における終値の平均に約20%のプレミアムをつけた価格だ。スクウェア・エニックスでは取得株式の上限は設定していないが、買付予定数の24万7900株に満たない場合は公開買い付けをしない。ただしその場合には、両社の間でなんらかの方法によって完全子会社化する方法を検討するとしている。

  なお、8月22日のタイトーの終値は、前日比3000円高(1.9%高)の16万1000円だった。TOB買い付け価格は、この終値に12.5%のプレミアムだ。スクウェア・エニックスでは今回の買い付け等にかかる費用は451億6000万円としている。

和田氏(右)は今回の買収について、「たとえばドラゴンクエストのキャラクターをアミューズメント施設のコインゲームに登場させるといったことではない。協業によって化学変化がおき、新しいものが生まれることを期待している」とした。

 スクウェア・エニックスは「ドラゴンクエスト」や「ファイナルファンタジー」などの家庭用ゲームソフトを主力事業としているのに対し、タイトーはアミューズメント施設の運営や業務用ゲーム機器の開発等を主力としている。家庭用ゲームソフトはタイトーも手がけているが、誰でも手軽に遊べるものが多く、大作を主力とするスクウェア・エニックスとは重複が少ない。また、海外事業ではスクウェア・エニックスが北米に強みを持つのに対して、タイトーは欧州が強いなど、相互補完関係にあることが決め手となったようだ。

 スクウェア・エニックス代表取締役社長の和田洋一氏はタイトーの子会社について、「(2003年4月の)スクウェアとエニックスを合併させたときから危機意識は変わっていない」とした上で、ゲーム業界をとりまく産業構造の変化が背景にあると話す。

 「今後は家庭用ゲーム機だけでなく、セットトップボックスやカーナビゲーション、携帯電話などのスペックが上がり、すべてがネットワークでつながっていく。ゲームのサービスのプラットフォームが多様化し、あらゆる機器からゲームが利用できるようになる。つまり、端末の組み合わせ次第でサービスのあり方が大きく変わるということだ。しかし、それぞれのパーツを持っていないとサービスを設計できない」(和田氏)。アミューズメントゲームに強みを持つタイトーをグループに加えることで、新たなサービスを展開するのが狙いだ。

 「今のゲームユーザーは自分の好きなものにたくさんのお金をつぎ込むようになっているが、家庭用ゲームソフトは、パッケージを売ってしまうとそれで終わりだった。これに対して、アミューズメントゲームはネットや携帯コンテンツと同じように、原理的に従量課金モデルだ。スクウェア・エニックスは今までアミューズメント機器を手がけておらず、かなり伸びる余地があると期待している」(和田氏)

 また、タイトー代表取締役社長の西垣保男氏は「基本的にアミューズメントゲームの業態はこれまで変わっていない。(スクウェア・エニックスのグループ会社となることで)あり方をどう変えていけるか実験してみたい」と意欲を見せた。

 なお、スクウェア・エニックスはタイトーを吸収合併する予定はなく、タイトーの社名やブランド名にも変更はない。「将来的には持ち株会社を設立し、その下にスクウェア・エニックスとタイトーが存在する形になるだろう」(和田氏)

 和田氏によると、今回の話は4月頃、スクウェア・エニックス側からもちかけたものという。「互いの強みを持ち寄ったらどうなるか、という広範囲な議論から始まり、夏頃には『一緒になるのが一番良い』という話になった。TOBという手法を決めたのは7月頃で、あくまでも子会社化するために最も早い手段だと考えたからだ。子会社化に関してはプロジェクトチームのようなものはなく、(西垣氏と)2人で話し合ってスキームを固めていった」(和田氏)

 TOBが成功した場合、タイトーは上場廃止となる。スクウェア・エニックスは、産業活力再生特別措置法にもとづいて事業再構築計画を作成し、認定を求める考えだ。

 スクウェア・エニックスの2005年3月期の業績は、売上高が前期比16.9%増の738億6400万円、営業利益は同36.3%増の264億3800万円、純利益は35.8%増の149億3200万円。一方、タイトーの2005年3月期の業績は売上高が前期比1.9%増の845億6000万円、営業利益は同50.1%減の29億700万円、純利益は同51.1%減の17億1800万円となっている。

 ゲーム業界は世界的に競争が激しくなっていること、次世代ゲーム機向けのソフト開発コストがかさんでいることなどから業界再編が進んでいる。2004年10月にはセガとサミーが合併してセガサミーホールディングスが誕生したほか、2005年9月にはナムコとバンダイが共同で持株会社「バンダイナムコホールディングス」を設立する計画だ。また、海外では業界最大手のElectronic Artsが2004年12月、欧州大手のUbisoft Entertainment株式を約20%取得している。

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