業績期待で明暗分ける
表3の結果を見ると、表1の大型ハイテク企業とは打って変わって好調が目立つ。調査した87銘柄のうち、上昇したのは約7割にあたる63銘柄だ。その中で、2倍以上に上昇している銘柄が13銘柄あった。87銘柄の平均騰落率も45.62%と、大型ハイテク株の▲2.58%を大きく上回った。こうした好調さは業績や株式分割に対する期待で明暗を分けている。87銘柄中、14銘柄が上半期中に株式分割を実施した。
特に、上昇率トップで10倍以上値上がりしたガーラは、株式分割期待が根強いうえに以下のような好材料が相次いだ。
(1)1億円強の第3者割り当て増資を電通が引き受け、自社開発したインターネット上の口コミに関する情報収集から分析を自動で行う「バイラルリサーチシステム」で業務提携、(2)電子掲示板フィルタリングシステム「サイバーコップス」の特許を、日本、米国、韓国、中国に続きカナダでも取得、(3)2005年3月期決算で売上高の伸びが見られないものの、単独決算で営業、経常、純利益が黒字化し、連結では純利益がトントン、2006年3月期の第1四半期(4〜6月)決算では、純利益が黒字化などだ。
このほか、オプトをはじめとして、業績の上方修正が相次いだ企業の上昇が顕著だ。
不正アクセス事件でサイト閉鎖にまで追い込まれたカカクコム(関連記事)も大きく戻し、2桁の上昇率だ。
こうした一方で、材料出尽くし感からかソフトバンクやライブドアやヤフー、楽天といったメジャー企業が相対的に軟調だ。特にソフトバンクは今期5年ぶりの黒字化が予想されているもののマイナスのパフォーマンスだ。決算発表で、孫正義社長は「過小評価されているがそのうち適切な評価がくだされるだろう」と述べている(関連記事)。パターンファイルの更新に不具合があり、ビジネス活動が停止した企業まで出してしまったトレンドマイクロ(関連記事)もさえない。
インフラ以外はすべて好調だったIPO
最後にIT・インターネット関連企業のIPO動向を簡単におさらいしよう(表4)。同関連の上半期のIPOは32銘柄だった。通常、IPOの人気を計るには公募価格に対する初値のパフォーマンスで見るが、これがマイナスになった銘柄は1つもなかった。公募価格に対する初値の平均騰落率は171.91%と3倍近く上昇している。ただし、公募価格に対する直近(8月12日終値)までの平均騰落率を見ると、その後の利食い売りからか146.20%と少し落ちる。アビックスやデジタルスケープなど、上場して間もないのにすでに株式分割を実施している企業も目立つ。
この中で注目されるのは、ガンホーだろう(関連記事)。3月9日に大証ヘラクレス市場に新規上場し、公募価格120万円に対して初値が3.5倍の420万円と初日に高騰。その後、2000万円近くまで上昇した(関連記事)。
さえないのはアッカ・ネットワークスやジュピターテレコムなどのインフラ関連だ。前ページの表3にあるイー・アクセスも軟調だ。これは、インターネットイニシアティブ(IIJ)が、6月23日に予定していた東京証券取引所マザーズ市場への上場を不人気から断念したことにも反映されている。ただし、ジュピターは上場後に上昇しており、さまざまな思惑があるソニー子会社連動株式(表3)も好調だった(関連記事)。
表4:2005年上半期IT・インターネット関連株のIPO動向(単位:%)
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(すべて権利落ち修正済み、カッコ内は株式分割、編集部調べ)
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