数十年も前から、熱心なコンピュータユーザーはPCを自作している。そして現在では、個人が米国防総省も羨むようなストレージシステムを自宅のリビングで構築することも可能になった。
サンフランシスコに本社を置くCapricorn Technologiesは、低価格なマルチテラバイトやマルチペタバイトクラスのストレージシステムを、誰でも効果的に構築できるようにするためのブループリントを作成し、オープンソースのライセンスの下で公開した。また、同社は「PetaBox」 と呼ばれるストレージシステムを低価格で提供しており、複数の大学や研究部門に納入している。
Capricornのストレージシステムがどれほど低価格かというと、同社最高経営責任者(CEO)C.R. Saikleyによると、1Gバイト当たりの価格が2ドル程度であるという。この価格の内訳としては、1Gバイトのストレージが約65セント、ラック/ソフトウェア/ネットワーク/マネジメントツール/その他のコンポーネントが1.35ドルだという。
Capricornの1テラバイト(1000Gバイト)システムは約2000ドルで販売される。また、1ペタバイトのシステム(1000テラバイト)システムの販売価格は、約200万ドルである。
一方、EMCが販売するペタバイトクラスのストレージシステムでは1Gバイト当たり20ドル、規模が小さな企業が販売する類似システムでも1Gバイト当たり10ドルかかるとTaneja GroupのアナリストArun Tanejaは述べる。ペタバイトクラスのストレージシステムは、膨大な額になるだろうとEMCの広報担当者は述べる。
「これらシステムに比べて、Capricornのシステムは低価格だ」とSaikleyは述べる。「Capricornの目標は、低価格ストレージ分野のリーダーになることだ」(Saikley)
インターネット、さらにはGoogleのGmailやApple ComputerのiTunesのようなサービスの成長を受け、保存を必要とするデータの量が急増している。ペタバイトは、ストレージとしては莫大な量だ。ストレージメーカー各社によると、これはテレビ番組45万時間、あるいは1日に世界中で作成される電子メールすべてに相当する量だという。
データ量の急増に伴い、巨大なストレージシステムに対する需要が増大している。幸運なことに、ハードディスク業界では、継続的な技術の向上により、約2年ごとにディスクの価格を低下させながらその密度を2倍にしている。こうした技術の進歩によって、ディスクメーカー側は収入を落とすことになるが、消費者は恩恵を受けている。
EMCの広報担当者は、高価格の商用ストレージシステムの方が、処理能力が高いと述べる。EMCが取り扱うシステムは、障害を発生させずに、何時間も続けて何千という取引を同時に処理することができるように設計されている。だが、大学の研究機関の多くでは、それほどの処理能力を必要としていない。
「容量に応じた性能を提供することが今後の課題である」(EMC広報担当)
Tanejaのアナリストも、低価格ゆえに、Capricornのシステムがどれだけ利用に耐えられるか不安だと述べ、特に大規模なビジネスユーザーでは注意が必要だと付け加えた。「2ドルという価格は、ディスクベースのストレージにしては、非常に低価格だ。Capricornが話しているのは、あくまでもハードウェアの価格に過ぎない」(Taneja)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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